細野氏が、民主党が掲げるべき柱として(1)内政はリベラル、(2)安全保障は現実対応、(3)そして改革──をあげ、「この3つの旗であれば、きょうは(維新の党の)石関(貴史)さんも来られているし、柿沢(未途)さんも来られていますけれども、お二人も乗れるんじゃないかと思うんです」と発言し、会場にいた柿沢氏が手で「マル」のサインを送る場面もあったという。
表向きは「リベラルと改革」の旗を掲げて野党再編をして政権を狙うと言っているが、発言内容を見ればおわかりのとおりホンネは真逆と言っていいだろう。冒頭のニュースも解党要請というよりは、現執行部への叛旗であり、共産党との連携や安保法制廃止の動きに対する牽制なのだ。大手紙政治部記者が解説する。
「まさに民主党内のイデオロギー闘争と言っていいでしょう。主役は前原、細野、長島の3人です。彼らが恐れているのは共産党が提唱する『国民連合政府』構想が実現して、安保法制が廃止になること。岡田代表も『連合政府』には躊躇があるが、候補者調整などの選挙協力なら歓迎との姿勢を見せたことがあった。たとえ選挙協力だけでも共産党と手を組めば、安保法制廃止、辺野古反対に舵を切らざるを得ないので、それをさせないためにも、あの手この手で揺さぶりをかけているんです」
要は、前原氏らが目指しているのは、反共産の“安保法制推進党”ということなのだ。
前原氏自身もそのことは隠していない。今月14日の読売テレビの番組で「政権を取りに行くのであれば(安全保障政策は)現実対応すべきだ」と述べ、安保法制の廃止や撤回を考えていないことを明言している。また、共産党との連携についても「(共産党は)シロアリみたいなもの。協力したら(民主党の)土台が崩れる」と端から否定の立場なのだ。なぜ、そうなのか。
そもそも前原氏は京大で親米現実主義保守派の理論的支柱とされた高坂正堯教授の薫陶を受け、松下政経塾を経て政治家になった人物だ。安倍晋三首相とは同期当選で議員会館も隣の部屋だったことから、安保政策では気心の知れる仲になった。2000年代の初めには自民党防衛族の石破茂氏らとも気脈を通じ、勉強会を開いて、集団的自衛権行使容認はもとより、徴兵制や核武装論にまで言及していたという。その石破氏に、やはり自民党の米田建三氏らを加えて「新世紀の安全保障を確立する若手議員の会」(新世紀安保議連)の世話人をやっていたこともある。