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難民の少女を揶揄するイラストで世界中から非難を浴びた漫画家が今度は「在日」攻撃イラスト投稿! 根底にあるヘイトとデマ体質

 仮に「難民」に該当せず申請を行う者がいても、先に述べた綿密な審査プロセスのなかで容赦なく振り落とされていく。さらに、審査というのはあくまで申請者本人の個別的な事情にもとづいて行われるものだ。細かな状況を把握しない者が「偽装」の側面を強調したイラストを描くことは、難民に対する偏見のばらまきでなくて何なのだろうか。

 今後も同種の出来事が起こった場合、対応を検討する可能性はあるかどうか同担当者にたずねたところ、回答は以下のようなものだった。

 「今回問題となったイラストの存在は承知しています。ただ、難民行政というのはあくまで本人の申請にもとづき判断をする場なので、それを越えて難民認定室がイラストそのものに対応するのは難しい部分があります。今後も人権侵害となる画像が出てきた場合、通報にもとづいて人権擁護局が何らかの対応を取ることはあるかもしれません」

■帰化制度の厳しさを知らないデタラメ「偽装日本人」批判

 次に、帰化者(確認しておくと「帰化」とは、ある国の国籍を持たない者が、所定の手続きにもとづいて国籍を取得することをさす)に関するイラストを見て行こう。

 主張の力点は、日本国籍を取得した元・在日外国人が本来「日本に尽くす気はない」人々であり、にもかかわらず入国審査の簡易化・国政への参与など「権利」を目当てにしているという2点に集約できる。

 帰化者が「日本に尽くす気はない」というメッセージについて、ここでも真っ先に指摘すべきは、日本の帰化要件の厳しさだ。現行の国籍法5条は「法務大臣は、次の条件を備える外国人でなければ、その帰化を許可することができない」などして、6つの要件を定めている。このうち、3(素行要件)では「素行が善良であること」として、申請者の犯罪歴、納税関係、出入国管理・外国人登録法違反などが審査される。なかには交通違反など、ハタから見れば「それってどうなの?」と首をかしげざるを得ないようなことも判断基準になっているようだ。さらに、6(不法団体要件)では日本国憲法下で「政府を暴力で破壊すること」を企てた、「主張する政党やその他の団体の結成/加入歴がないこと」などが定められている。提出書類は帰化許可申請書、帰化の動機書、国籍・身分関係証明書、納税証明書など実に計20以上にのぼる。審査期間はケースにより異なるが、筆者があたった論文では国籍取得におよそ1年半もの時間を要した家族の事例が紹介されていた(浅川晃広『在日外国人と帰化制度』新幹社)。

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