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山口組分裂で大忙し! ヤクザ専門ライターが送る壮絶な日常とは? ひっきりなしの電話攻勢、家族旅行への同伴…

 電話もそうだが、メシの種であるヤクザとの「付き合い」も決してないがしろにはできない。だから、時にはこういった接待に駆り出されることも……。

〈朝5時、携帯がけたたましく鳴った。寝入りばなで熟睡してなかったので、ついつい電話を取った。
「夏休みやな。案内してくれるか? 東京観光や。あんたがガイドしてくれ」
 一方的にまくしたて、親分は電話を切った。もう10年以上付き合っており、この人の頼みならどちらにしても断れなかったはずだが……。
 翌日、東京駅で待ち合わせ、車に乗り込む。東京の企業舎弟たちが運転手で、親分と幹部3人、その家族で総勢17人での東京観光である。
 まずは二重橋を見学に行った。関西弁丸出し、おまけに「親分」「若頭」など、会話がヤクザ丸出しだ。おまけにかなり声がでかい。非常にやかましい。歩いているだけで通行人が振り返る。疲れまくる。(中略)
 へとへとに疲れ、ようやくホテルに送った。地下鉄に向かって歩いていたら、親分から電話だった。
「みんな喜んでたわ。あんたのおかげでええ家族サービスができた。ありがとうな」
 涙が出そうになった。これだからヤクザは嫌いだ〉

 ちょっと良い話にホロリとしてしまうが、このように「ヤクザ」であることをおおっぴらに外にアピールすることは年を経るごとにどんどん世の中が許さなくなってきている。暴排条例や暴対法により、ヤクザを取り巻く社会状況はすさまじいスピードで激変しているのだ。それは生活のなかのこんな些細なひとコマにも表れる。

〈この日はヤクザの正月で、事始式という儀式が行われる。主に西日本の組織が行い、親分を前にして挨拶を済ませ、簡単な宴会が行われる。暴排条例が施行される前は、ホテルや料亭で行われていた。温泉旅館を貸し切り、若いお色気コンパニオンを揃えた組もあった。
 が、いまは店を貸した側が違法になる。そのため自己保有のビルや本部しか使えない。かつての正月ムードもほとんどない。とある組織に出向いたが、「式が始まったら出て行ってくれ」と素っ気ない。
 隣の和室でだらけていたら、若い衆が弁当を持って来てくれた。この弁当さえ、売った側がばれると警察にイヤキチ(意地悪)されるので、はっきりは写真に撮れない。時代は変わった。ヤクザはあと何年生き残れるだろうか……〉

 また、いまのヤクザは名刺の発注も普通の印刷屋には頼めない。

〈いまのヤクザは代紋を付けると暴対法でパクられる。組織や代紋入りの名刺を作れば、印刷屋が暴排条例でアウトだ〉

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