つまり、訪米して要人と会話しても、事前に用意された文面が読み上げられるだけで、全く議論にならなかったというのだ。おそらく、その書面は事前に日本政府側から働きかけて作成されたものであることは容易に想像がつく。
そして、翁長知事はこうした実態を安倍首相に説明した上、かなり厳しく迫ったらしい。
「私たちは今日までアメリカに何回となく、私以外の者も含めたら、何百回もホワイトハウスだったりペンタゴンだったり、知識人だったり上院議員、下院議員だったり沖縄の問題訴えてきました。(中略)最後に言うのは、これは日本国の国内問題だから日本政府に言いなさいというのが、最後に必ずきます。それを持って日本に帰ってきて、外務大臣、防衛大臣と話をすると、大概ですね返事は後ろでアメリカがノーと言うんだよというのが、今まで私たちのたらい回しの現状です。そうしますと総理の「日本を取り戻す」という中に、沖縄が入っているんですかというようなことも聞かせてもらいました」
「それはサンフランシスコ講和条約で治外法権の中で私たちが生きている時に、キャラウェイ高等弁務官から「沖縄の自治は神話である」と言われて、私たちはそれに反発して人権獲得をしましたが、ぜひ安倍総理においては、日本の独立は神話であると言われないよう頑張ってくださいということが、私の5月17日の県民大会での最後の言葉でありました。そして、戦後レジームからの脱却と言っているけれども、沖縄の現状を見ると、戦後レジームの死守ではないかというような話もさせていただきました」
だが、安倍自民党が勇ましく叫ぶ「日本を、取り戻す」というフレーズのなかに「沖縄が入っているんですか?」と問うた際も、安倍政権の沖縄政策は戦後レジームからの脱却ではなく死守ではないかと話したときも、安倍首相はなんの反応もみせず、無視したという。
安慶田副知事が辺野古移設はそもそも手続きとしても正当性を欠いていることを政府側に説明した際も、同じだった。