『はじめての不倫学 「社会問題」として考える』(光文社新書)
大阪維新の会の顧問も務める大阪府柏原市長の不倫騒動から、人気女子アナの不倫フェラ画像流出、そして埼玉県警巡査部長による不倫での二重生活ゆえの金銭苦が動機とされる強盗殺人事件まで──。いつの世も様々な形で“事件”となりニュースを賑わせる“不倫”。
全国区の事件にならずとも、〈友人や職場の人間関係に致命的な亀裂〉を生じさせ、〈別居や離婚、子どもとの離別〉を呼び、〈転職や失職〉を余儀なくされ、それらによる〈貧困の問題〉にも繋がるなど、もはや〈不倫は社会問題〉だといっても過言ではないとするのが、『はじめての不倫学 「社会問題」として考える』(光文社新書)だ。
著者はNPO法人ホワイトハンズ代表理事の坂爪真吾氏。坂爪氏が「不倫はNO!」とするのは、まず〈高確率でバレ〉、〈不倫後、仮に現在のパートナーと別れて不倫相手と結婚しても大概はうまくいかない(中略)うまくいくのは25%で、75%は結局別れるというデータ〉があるといい、さらに〈子どもに「感染」〉することで、〈子どものメンタル面や将来にも大きな影響を与える〉からだ。
さらに被害者を生むのが、〈脳内不倫〉の存在で、〈本人にとっては純粋な恋愛〉のつもりだが、〈女性側からすれば勘違いした既婚上司からの単なるセクハラ〉で、〈「自由恋愛だ」「誘ってきたのは女性側からだ」「強い抵抗じゃなかった」「あれは合意だったはずだ」〉と、〈「被害者」である女性を「両思いの恋人」と完全に思い込んでいる〉輩たちだという。
また、不倫には〈中毒性〉がある、と指摘する。
〈不倫のセックスの気持ちよさを一度でも体験した人は、多くの場合、それ以前のセックスには戻れない。今までの人生で経験してきた恋愛やセックスの全てが色褪せるほどの衝撃を受けて、「今までの人生は一体何だったんだ」と愕然とする人もいる〉
だからこそ、坂爪氏は〈不倫やめますか、それとも人間やめますか〉とまでいうのだ。