いずれにせよ、10月21日にはユニバーサルミュージックからメジャーデビューシングル「僕を信じて」の発売を控え、グループとして最も大事なこの時期に、プロデューサーが公にしてタレントの活動にプラスの効果を与えるような発言ではないのは明白だ。
そして、さらには、こんな過激な言葉まで口走る。
「アイドルグループの運営を1年ぐらい前から始めて思ったんですけど、これをまともなビジネスにしようと思ったら、ヤクザになるしかない。ウチのグループってメッチャ辞めていくんですけど、辞めさせなくなかったらヤクザになるしかない」
彼の暴言はまだまだ止まらない。脱退者が続出しているPIPの現状を受けての「いま、何人になってるんですか?」という質問には、足を組み、笑いながら、
「いま何人だっけ? もう忘れてるぐらい。今日とか6人ぐらいしかいなかったですよ、定期公演」
と返す。そして途中「アイドルってクソだなって分かったんで」との言葉まで吐き捨てながら、最後の告知コーナーでは、前述の「僕を信じて」をPRしながら、
「ユニバーサルミュージックからメジャーデビュー、謎ですよね、俺も自分で謎だなって思ってますもん。なのに、辞めていくメンバーたち。いやー、本当にバカだと思ってますけどね」
などと、かつて在籍したメンバーたちに対して嘲るような言葉まで発したのであった。
本稿冒頭で、PIPというアイドルについて「アイドル業界に蔓延する「搾取」の構造を変革するというマニフェストを掲げ」と紹介したが、濱野はただ「アイドルに近づきたい」というような下衆な目的でアイドルグループを立ち上げたのではない(このような目的でアイドルグループを立ち上げる輩は相当数おり、そういう者のことをアイドルオタクたちは「半ヲタ関係者」と呼び、忌み嫌っている)。
濱野は、現役アイドルとしての活動中「やりがい搾取」のようなかたちで薄給で働かされ、セカンドキャリアへの道も満足に用意されぬまま捨てられていく、そんなアイドル界の現状に異議申し立てすべくPIPというグループを立ち上げた、はずだった。「週刊金曜日」14年6月6日号(金曜日)掲載の「アイドル共産党宣言 搾取されないアイドルを自分の手で!」と題された、PIPお披露目直前の文章では、このように書かれている。