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産経とフジが「デモ参加者は一般市民でない」「特定政党支持者」との世論調査発表…そのデタラメと歪曲の手口を暴く

〈安全保障関連法案に反対する集会に参加した経験がある人は3.4%にとどまった〉〈集会に参加したことがない人は96.6%で、このうち今後参加したい人は18.3%、参加したいと思わない人は79.3%だった〉という記述も同様だ。

 産経とフジは3.4%という数字で、「少数の特別な人たち」ということを印象づけたいらいしいが、今回の世論調査の対象である20歳以上の国民の「3.4%」というと、およそ356万人にものぼる。

 デモの参加は交通の便や仕事の都合などの問題もあり、単なる反対意見の表明よりはるかにハードルが高い。それなのに356万人もいるというのは、すごい数字だろう。しかも、デモ未経験者のなかで「今後参加したい人」が18.3%もいる。経験者と合わせれば、実に国民の5人に1人以上が安保反対デモに参加したいと考えているのだ。

 欧米各国と比べて大衆の社会運動への意識が低いと言われてきた日本で、ここまでデモ参加の意識が高まっているというのは、未曾有の事態と言っていい。それを、平気で「とどまった」などと書くのだから、もしかしてこの新聞社の人間は基本的な算数もできないのか、と心配になる。

 さらに、デタラメぶりをさらけだしていたのは、年代に関する調査結果と分析だ。

〈参加経験者を年代別に見ると、最も高いのは60代以上の52.9%で、40代の20.5%、50代の14.7%が続いた。20代は2.9%で、20代全体に占める参加経験者の割合は0.8%にとどまった。各年代での「今後参加したい人」の割合を見ても、60代以上の23.9%がトップ。20代も15.5%だったが、「60年安保」や「70年安保」闘争を経験した世代の参加率、参加意欲が高いようだ〉

 ようするに、産経は「安保反対デモの中心は若者ではなく老人」と言っているのだが、もしかして、彼らは自分たちの旧態依然たる調査方法のことをわかっていないのだろうか。

 産経FNN合同世論調査は、コンピューターで無作為に発生させた数字の電話番号にダイヤルするRDD方式でなされている。が、この方式で電話をかけるのは固定電話に限られており、携帯電話やスマートフォンにダイヤルされることはない。独身の若者、とりわけ20代や30代に関しては、そもそも固定電話自体を自宅に引いていないことがほとんどだし、主婦層や高齢者と比較して外出していることが多いので、調査の実数を確保しづらい。これは多くの専門家が指摘していることでもある。

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