■安保法案報道で見せたマスコミの“感覚麻痺”、沈黙する記者は卑怯だ!
そんな清水が最近、危機感を抱いているのが安倍政権により閣議決定された安全保障関連法案だ。政権のありかたに危機感を抱き、ときには毎週末国会前で行われる抗議を覗きに行くこともある。安保法案を取り巻く報道のありかたにも懐疑的だ。『騙されてたまるか』のなかでは、当初全国紙・NHK・民放キー局など在京記者クラブメディアのほとんどが当初は法案について積極的に報じず、地方紙・スポーツ紙・ネットメディアや憲法学者らの批判を受けてようやく軌道修正するに至った様を「永田町や霞が関で“生活”している記者たちの感覚麻痺としか思えない」と手厳しく批判している。
「安保法案や集団的自衛権を全否定しているわけではない。ただ、現政府のやり方が非常に権力を振りかざすようなスタイルでしょ。『アベノミクス』と称して国民を騙し、批判するマスコミには圧力をかけて、ただ自分達のやりたいことを通そうとしている。一方、当のメディアは機能不全。この現状にこそ問題を感じている。
今の憲法は厳密には自衛隊などの現実と矛盾していると思う。集団的自衛権なども国民にとって必須なのかどうかは、考えなきゃいけない問題でしょう。でも、それなら『国民の問題』としてまず憲法改正を検討するという必要な段階を踏んでほしい。安倍政権はそこをまったく無視しごまかし、メディアを黙らせて強行突破しようとしている。そんな法案をすんなり許したら、憲法違反とメディア潰しを黙認したことになる」
最近では実名のツイッターアカウントで、安保法案をはじめとした政権やマスコミのありかたに積極的に意見している。
「僕はテレビ局の社員という立場だけど、その前に一個人であり国民。だから大切なことには自分の立場を示しておくべきと思っている。メディアには多くの記者がいて、その人たちがそれぞれ考えを持っているはず。会社の方針というのはあるにしても、社員記者だってその人がどのような考え方を持っているかはきちんと示すべきだと思う。例えば、何考えているかわかんない人から取材受けて、自分の大事な話なんかする気しますか? 立場のせいにして黙り込むのはある意味で自殺行為であり、卑怯なのだと思う。会社の看板の裏に隠れているから、総じてメディアは『権力に潰されてる』って言われちゃう。どんな記者だって固有な考えも、気持ちも持っているはずなんだよ。そうした自分の気持ちすら伝えられないで、取材した人の想いなんて伝えられるわけない」