衆議院議員 安倍晋三 公式サイトより
安保法制の強行採決が目前に迫る中、安倍政権の主張を根底からくつがえす新事実が明らかになった。
「平和安全法制の考え方は砂川判決の考え方に沿ったもので、判決は自衛権の限定容認が合憲である根拠たりうる」
「砂川判決は明確に必要な自衛の措置は合憲であると認めた。憲法の番人としての最高裁の判断だ」
これらは、憲法学者や専門家の違憲論に対して、安倍首相が国会やテレビインタビューで耳にタコができるくらいに繰り返してきたセリフだ。1959年に、米軍の駐留が合憲かどうかが問われた砂川裁判。その判決で最高裁が日本の自衛権を認めているのだから、集団的自衛権も安保法制も合憲だと言い張ってきた。
ところが、昨日の『報道ステーション』(テレビ朝日系)が、その砂川判決を出した最高裁判事、入江俊郎氏が書いたとされる判決メモの存在をスクープした。
入江氏は、戦後法制局の中心人物として日本国憲法にかかわり、法制局長官を経て最高裁判事に就任。歴代でもっとも長く最高裁判事を務め、数多くの憲法裁判にかかわってきた人物だ。書斎から発見されたこのメモは、その入江判事が、砂川判決にどんな意味を込めたのかを、判決の3年後まだ現役の最高裁判事だったときに解説したものだという。
ところが、そこにはこんな文言が書かれていたのだ。
〈「自衛のための措置をとりうる」とまでいうが、「自衛の為に必要な武力、自衛施設をもってよい」とまでは云はない〉
ようするに、安倍首相が合憲の根拠としている判決を下した判事が、集団的自衛権どころか、自衛隊の存在、武力自体について「もってよい」とは判断しなかったと明言しているのだ。
『報道ステーション』によると、さらに、メモはこう続いていたという。
〈自衛の手段はもちうる それまではいっていると解してよい ただそれが(憲法9条)2項の戦力の程度にあってもよいのか又はそれに至らない程度ならよいというのかについては全然触れていないとみるべきであらう〉