細かいデータも福島の数値を上回っていた。同じ平成26年度調査の受診者数3593人中、二次検査が必要とされるB、C判定が74人(2.06%)。条件が異なるので単純に比較できないが、福島での5月の中間報告では受診者数148027人中、B、C判定は1043人(0.9%)。北茨城市の方が倍以上だ。
これが意味することは重大だ。津田教授は、この北茨城市のデータについてこうコメントを寄せている。
「2014年度ですので、福島県内のいわき市より1年後の検診です。2013年度に検診が行われたいわき市でもはっきりとした多発が見られております。その1年後に行われた検診により、いわき市と隣接した北茨城市において、それ以上の割合で、甲状腺がんが検出されることに何の不思議もありません。放射性ヨウ素により極めて効率よく甲状腺がんを多発させることが知られていますし、さらに放射性ヨウ素は原発の南方向に流れたことが様々な情報から指摘されています。福島県で原発事故による甲状腺がんの多発を裏付けるデータがまた1つ積み重ねられたと言えます。福島原発事故による放射線の影響とは考えにくいという判断は根拠ないどころか、これまでの根拠と反します。茨城県においても早急に症例把握が必要です」
つまりこの北茨城市の調査結果によって、甲状腺がん多発が、政府と福島県のいうような過剰診断によるものではなく、被ばく原因である可能性が一段と高まった。しかも、その健康被害が近隣県に広がっていることも明らかになった。
政府は一刻も早く近隣県の本格調査を実施するとともに、福島のがん診断者へのケアを充実させるべきである。
(松崎 純)
最終更新:2015.08.28 05:18