「週刊現代」(講談社)9月5日号
大阪高槻市で遺体で見つかった13歳の中学1年生・平田奈津美さんに続き、行動を共にしていた同級生の星野凌斗くんの遺体も発見されるという最悪の事態に至った寝屋川中1殺害事件。事件に関与したとされる45歳の男が逮捕されたが、多くのマスコミがその直前まで、まったく的外れな憶測に基づいて取材を行っていたことは先日、本サイトでも指摘したとおりだ。
星野くんが平田さんを殺害して逃走し、星野くんの親がそれをかばって遺体を隠した。同じ中学生のグループによるリンチ殺人だった。星野くんの母親が交際に反対して事件を起こした。平田さんの母親が娘を虐待して死なせてしまった……。
とにかく、被害者がからんだ少年犯罪、もしくは被害者家族が関与していると決めつけ、被害者周辺のプライバシーを徹底的に暴きにかかっていた。
もし容疑者が逮捕されなかったら、とんでもない鬼畜記事が出てしまったのではないか、と推測していたら、案の定、24日発売の「週刊現代」(講談社)9月5日号がやらかしてしまった。実は「現代」の校了日は21日の金曜日午後。45歳の男が逮捕されたのは21日夜だったため、間に合わず、憶測記事がそのまま出てしまったのだ。
「少女が抱えていた家族問題 大阪府警がマークした人物 新聞・テレビが報じなかった大阪・寝屋川「中1惨殺」全真相」と仰々しいタイトルをつけた4ページに渡る特集は、明らかに星野くんが関与していることを匂わせるものだった。
「捜査当局が重点的に洗ったのが、行方がわからなくなっていた同級生、星野凌斗くん(12歳)の「交遊関係」だった」
「(捜査員は)平田さんや星野くんの交際トラブルが事件に結びついたのではないかとの見立てだったのです」
アイドル的存在だった星野くんには親衛隊が存在し、そのなかに星野くんが “カノジョ”を作り他の女子と対立関係になったこと、その“カノジョ”と別れた後、星野くんが付き合い始めたのが平田さんであるなど、星野くんの女性関係や、三角関係までが示唆されている。
「(星野くんは)自宅にはあまり帰らず、(親衛隊)メンバーの中の一人で、カノジョではない女子の家によく泊まっていた」
さらに、「現代」は上級生のLINEに平田さんから「子供出来た」といったコメントが送られてきたことまで書いていた。
いや、星野くんに関してだけではない。平田さんの家庭環境についても「(母親は)2週間ほど娘の顔を見ていない」「日常生活を把握していなかった」「母子関係にも問題があった」など、あたかも被害者である平田さんの家庭に問題があったかのごとく報じていた。