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『おくりびと』ではわからない葬儀屋・納棺師のエグい裏側!「費用は上乗せで倍に」「ヤクザは家族葬」「戒名はPCソフトで」

 一般人は葬儀についてよく知らないことが多く、どうしても足元を見られがちだが、一方で葬儀屋のほうが多分に気を遣うのが、ヤクザの葬儀だ。とにかくメンツにうるさいのがヤクザというもの。たとえば看板の文字を間違えただけでも、「弁護士が立つほどの大クレーム」になることがあり、葬儀屋には「ヤクザ担当のベテランディレクター」なるものが存在しているという。

 また、ヤクザの葬儀には警察もやってくる。もちろん周囲の安全を確保するためでもあるのだが、「遠くから参列者を1名1名写真撮影する」ためでもあるのだという。ヤクザの葬儀では、指名手配犯が参列することも多く、警察はその逮捕のタイミングを狙っているのだ。

 しかし、ここで問題となってくるのが、「暴力団排除条例」の存在。暴力団と交際したり利益を与えたりする一般市民を取り締まるこの条例によって、ヤクザの葬儀を請け負えなくなるケースが増えている。葬儀における香典が暴力団の資金集めとみなされることもあり、施行した葬儀社が処罰されることもあるのだ。

 とはいえ、ヤクザといっても人間であり、死んだら当然葬儀を開くことになるわけだが、そこにつけ込むのが悪徳宗教者だ。たとえば、通常30万円の使用料で貸している会場を200万円ほどでヤクザに貸そうとする悪徳僧侶もいるという。まったくもって聖職者とは思えない銭ゲバぶりだ。

 ちなみに、nontan氏の葬儀社では、「組葬」という形ではなく、「家族葬」という形で、ヤクザの葬儀を執り行うとのことだ。あくまでも組織に対する利益供与にならないよう配慮しているものの、何百人もの参列者が訪れることも多く、結局は「組葬」のような大規模な葬儀になっているようだ。

 同書からは、我々がどんなかたちで死を迎えるのか、という実態も伝わってくる。納棺師のnontan氏の経験では、もっとも多い死因は病院での病死で約5割。次いで、多いのが孤独死で、全体の2割ほどを占めているというが、この現場がかなり凄惨なものらしいのだ。

 たとえば、認知症の男性が孤独死した時のケース。nontan氏がその男性が独り暮らしをしていた家に行くと、なんと壁一面に“ウンコ”が塗りたくられていたというのだ。認知症となっても介護を受けることもなく、壮絶に孤独死を迎えた様子が容易く想像できる。

 また、発見された時点でミイラ化している孤独死の遺体もあるという。こういった状況に、警察や葬儀屋は完全に“慣れっこ”になっているようで、警察は「これなら火葬しなくて 大丈夫そうだね 今日は楽だね 葬儀屋さん♪」などと、ジョークを飛ばしているらしい。

 誰しも必ず迎えるものなのに、とにかく知らないことばかりな葬儀の世界。悪徳業者に騙されないためにも、もっともっと葬儀のことを知っておく必要もありそうだ。
(田中ヒロナ)

最終更新:2018.10.18 05:49

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