しかも最近でもエネ庁の“無知”ぶりが露呈した一件があった。それが7月29日の安保審議で「生活の党と山本太郎となかまたち」の山本議員が追求した「原発にミサイルを撃ち込まれたらどうするのか」との議論だった。このなかで山本は稼働中の川内原発原子炉に弾道ミサイルなどの攻撃を受けた際、最大でどの程度の放射性物質の放出を想定しているか、とエネ庁に問い合わせたことをこう明かしている。
「これ、誰も教えてくれないんですよ。川内原発の場合、1号機原子炉内の核燃料157体の放射性物質がすべて放出された場合、また、貯蔵庫の燃料64体、使用済燃料プール1128体の放射性物質全て環境中に放出された場合、全てです、セシウム137基準でそれぞれ何ベクレルになるんですかと言って原子力規制庁と資源エネルギー庁に質問したんですけれども、誰一人答えられないんです」
もちろんエネ庁だけでなく、答弁を指名された安倍首相も、そして安倍首相に代わって答弁した原子力規制委員会の田中俊一委員長も、まともに答えることは出来なかったのだ。
こんなエネ庁に何を言われたところで、一体誰が信じるというのか。しかし大西議員が発破をかけるまでもなく、またぞろエネ庁による“間違った世論操作”は既に再開されている。
平成27年度予算の中には「エネルギー環境総合戦略調査等委託費2億7000万円として、「エネルギー政策広報事業」「エネルギー教育に取り組む小中高を広く全国から募り、その実践を支援」という項目が存在し、実際にマスコミ広告でのPR、子ども向けのパンフレット作成や、授業の支援さえ再開している。
エネ庁による新たな“安全神話”作りだが、川内原発の危険性は本サイトでも既に報じた通りだ。
次々と原発再稼働を目論む電力会社に、政治に、そして官僚たち“原発ムラ”に再び騙される愚挙だけは繰り返してはならない。
(伊勢崎馨)
最終更新:2015.08.11 04:58