それにしても、上念氏をはじめ、社会的地位のある人物たちが若者デモを汚い手や言葉で冒涜する現状には、目を覆うばかり。しかし、その元凶は、彼らが支持する安倍政権にある。
現に、安倍晋三首相を支える自民党副幹事長の萩生田光一議員は、7月17日に自民党本部で開かれた全国正副幹事長会議で、このように発言したという。
「『SEALDs』という団体は、警視庁の公安部がマークする団体で、革マルから豊富に資金提供を受けている」
この発言をすっぱ抜いた「選択」8月号によれば、この席上で萩生田議員は〈警視庁からの情報などを交えつつ、デモには特定の左翼団体が行っているものがあると断言した〉という。だが、「選択」では、警視庁担当の全国紙社会部記者が「萩生田の発言は、前半は正しいが、後半は誤っている」と証言。警視庁公安部が〈「SEALDs」などの団体や参加者を監視しているのは事実〉だが、〈革マルからの資金提供云々は「嘘」〉と断言している。
以前、本サイトでもお伝えしたが、公安によるデモの監視は激しさを増している。公安部だけでなく「各都道府県の警備部や公安調査庁まで駆り出されている」と言い、警視庁関係者も「少し離れたところから参加者の顔写真を撮影して左翼組織の活動家を特定している」と話している。だが、SEALDsの中心メンバーなどには〈出身地の県警まで動員した〉ものの、「家族や交友関係を調べても、特定の政治的背景はなかったという報告が上げられた」そうだ。
SEALDsの背後に特定の左翼団体の存在があれば、いろんな理由をつけて引っ張ることもできる。しかし、実態は政治的背景がない若者たちだったとわかり、安倍首相は困り果てているらしい。全国紙政治部ベテラン記者はこう語っている。
「政府与党は世論の動向が気になって仕方がない。特に官邸は必要以上に敏感になっている」
「(安倍首相の心情は)不安を通り越して怯えの域」
だからこそ、官邸は必死になって「SEALDsは革マルからの資金提供を受けている」などと大ウソをつき、前述した上念氏や「デモ参加者はバイト」とツイートした百田尚樹氏、ネトウヨなどの安倍応援団たちは、必死になってSEALDsのデマを捏造、喧伝しつづけているのだ。
官邸もネトウヨも、やっていることは一緒。醜いデマや個人情報を流して若者を潰そうとしている。これでは戦時下の言論弾圧と同じ状況だ。
(水井多賀子)
最終更新:2015.08.05 12:43