渡辺えりオフィシャルブログ「夢見る力」より
日本を戦争のできる国に導く安保法制の強行採決が迫り、さまざまな分野のアーティスト、表現者が反対の声をあげているが、演劇人のなかからも、安倍政権のやり方に対する批判の声が上がっている。
「閣議決定でなんでも決められるなら、民主主義など意味がない」
「『反対』を口にするのはあたりまえだ」
こんな怒りの声をあげたのは、竹中直人や、いとうせいこうも在籍したラジカル・ガジベリビンバ・システムでも知られる劇作家・宮沢章夫だ。
演劇雑誌「悲劇喜劇」(早川書房)2015年7月号の特集「演劇と戦争 いま思うこと」では、多数の劇作家や俳優が“戦争”をテーマに演劇人としていま思うことを語っている。
宮沢が、こうして強い表現で懸念のメッセージを送るのには理由がある。歴史を振り返れば分かる通り、戦争への道は国民がそれと気づかない間にどんどん進み、気がついたときには、もう引き返すことができなくなっているものだからだ。
〈おそらく、「戦争」はそれと気がつかぬうちにやってくると想像する。未来の「戦争」だけでなく、過去はあきらかにそうだったはずで、1930年代、気がついたら泥沼の戦争状態になっていたが、誰もはじめは気がつかなかった。いまもそうだ。もう戦争は始まっているかもしれない。だから私は演劇を通じて、いかにそのことに加担しないかを考えている。不意をつかれるのだ。気がついたら加担しているのだ。いままで通りに舞台を作っていたら、それが知らぬうちに「戦争」に加担していることになっているのではないか。それを危惧する。〉