他方、元妻は息子を養うために必死だ。この弁当本では、タッパーウェアにそうめんとつゆを入れただけのものやカレー丼など、手抜きと言われそうな弁当も登場する。でも、亜希氏は「楽をすることばかり考えているわけではないけど、それくらいの気持ちの余裕みたいなものを持ちつつお弁当に向かった方が、作る方も食べる方も楽かもしれない」と綴る。大事なのは「親子のコミュニケーション」「しっかりした信頼関係」。シングルマザーにとっては、大いに共感できる内容になっているのではないだろうか。
一部報道によると、亜希氏自身もギャンブル依存症の父と別れた母が女手ひとつで亜希氏と兄を育てたという。母の苦労を見てきたであろう亜希氏がいま、「小さい母の背中」を思い出し、母の弁当を受け継ごうとするのは、苦労を引き受ける強い覚悟の表れなのかもしれない。
亜希氏の弁当本に溢れる、母ちゃんのたくましさ。一方、和博氏のほうは対照的にすっかり「番長」「夜の帝王」の面影も失い、お遍路巡りをはじめたという。それぞれのやり方で、それぞれに幸せをつかみ直してほしいものだ。
(大方 草)
最終更新:2015.06.15 07:04