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大卒の正社員、安定志向、祖父が自民党好きなだけ…ネトウヨ・レイシストの意外な素顔

 同書で語られる排外主義者たちへの聞き取りの内容を見てみると、その像が浮かんでくる。

「選挙だけは絶対行ってましたね。(中略)(投票先は)昔から自民党だったんですね。政党としては、そうですね。あの、実家のほうが農村部で場所的に保守的な層が厚いところで、というのを子どもの時からずっとそういうのを聞いていて、何となくそこで。自民党が保守政党とかうんぬんって、そういう発想自体がまずなかったです。」(B氏・在特会・三〇代男性) 

「僕らが小さい頃は、祭日には日の丸をじいちゃんが掲げたりとか。(中略)で、政治に興味を持つというか、社会人としての最低(のことを)知らないかんということで、ニュースは見なさい、毎日、新聞読みなさいとか。わからんところは聞いたらちゃんと教えてくれるし。……基本は自民ですね。うちのじいちゃん自体が自民党が好きだったんで、昔の話からいうと「自民党に入れとけば」というような考え方ですよね。安定政権を望むというか。」(V氏・在特会・四〇代・男性) 

「二〇歳から選挙権もらいますよね。そこからやっぱり、自然と(政治に)眼を向けるようになりますね。それ以前はパッパラパーですよね。全然、ほとんど興味がないんです。新聞なんかも三面記事くらいしか読まないし、テレビ欄とか、そうなんですよ。でも選挙権、二〇歳超えたらもらえるというんで、私も自分の一票は国の将来にかかわってくるよと思うと、責任感じますんで。……投票先は、とりあえずまあ自民党ですね。」(P氏・在特会・二〇代女性) 

「インターネットで調べて、情報が入ってきたっていう、たまたまそういうところみたっていう、こちらから積極的に調べたっていうのがあって。それでおかしいということがずっとわかって、納得するような答えが出てきて、それでああ在日特権なんだ、というところにいきました。」(F氏・在特会・三〇代男性)

「(在特会に行き当たった経緯は)あまり覚えていないですね。結局ネットサーフィンしていたら、気づいたらぜんぜん違うところに行ってますでしょう。本当にあんな感じで、友達からサイト教えてもらって、それから検索の検索の検索のという感じで、多分行き着いたんじゃないですか。(中略)それでたまたま本当に──たまたまですね。だからそういう意味ではある程度ネットの社会にそういうのがある程度、よく出てたというか、そんな感じですね。」(U氏・在特会・二〇代男性) 

 どうも、彼らの多くは生活が「しんどい」から排外主義者になったのではなく、何となく日本が好きだとか、教えられた歴史教育に漠然と疑問を持っていたとか、選挙では自民党に投票する(逆にリベラルな親に反抗して保守になるケースもあり)、ノンポリだけど歴史問題には興味があったなど、家庭生育環境などの理由から元々持っていた保守的イデオロギーが、2000年代以降インターネット上で跋扈している「在日特権」のような虚構と結びつき、運動に共鳴していったということのようだ。

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