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イルカ追い込み漁は残酷じゃない? だったらテレビはなぜ漁の詳細を報道しないのか

イルカ追い込み漁問題に揺れる水族館業界(YouTube「ANNnewsCH」より)


 先日来、テレビのワイドショーやニュース番組が例のイルカ追い込み漁問題をやたら興奮して取り上げている。きっかけは、世界動物園水族館協会(WAZA)が和歌山県・太地町の「イルカ追い込み漁」で捕獲したイルカを飼育・展示している日本の水族館に入手をやめるよう圧力を加えたこと。最終的には日本動物園水族館協会(JAZA)も、それに同意せざるを得ない状況に追い込まれた。

 この背景にはもちろん、欧米諸国による「イルカ追い込み漁は残酷」といういつもの批判があったのだが、これに猛反発したのが、普段、当たり障りのないことしかいわないワイドショーの司会者やコメンテーター達だった。

 普段の弱腰ぶりはどこへやら。「他国の文化にそこまで干渉する権利があるのか」「欧米の鹿狩りはOKで、なぜ日本のイルカ漁はダメなのか」「何が残酷なのかをはっきり言わないのはおかしい」と、まるで憂国の士のごとく声をはりあげたのだ。

 なかでも凄かったのが『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ)で、コメンテーターたちに「一国の文化についてそこまで立ち入るのならば、何が残酷なのかというということぐらい明文化してちゃんと言うべき」、「我が国には我が国の倫理規定がある。WAZAの言うことを聞くことはない」と強硬論をぶたせたあと、キャスターの宮根誠司がこんな発言をしたのだ。

「一番いいのはね、水族館でジャンプしているイルカに聞くことやと思うわ。あれだけ勢いよく飛んでんやねもん。餌ももらって。不幸せではないと思うよ僕は」

 あんた、城みちるか(古くてすいません)? と思わずつっこみたくなったが、まあたしかに気持ちはわからなくない。そもそも獣肉食の習慣は欧米が本家だし、レジャーで鹿やうさぎを殺す文化も彼らの国のものだ。自分たちのそういう行為は許されて、なぜ、日本のイルカ漁やクジラ漁がダメなのか。根底には欧米人の特権意識もちらついている。

 しかし、一方で、日本のマスコミの報道にもどうも釈然としないものが残る。というのも、先述したように、各局とも「イルカ追い込み漁は日本の伝統。残虐というならば根拠を示すべき」と口をそろえたのだが、肝心の漁の内容については、ほとんど具体的に説明しなかったからだ。つまり、自分たちも「残虐でない」という根拠を示すことはしなかったのである。

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