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安易な生活保護バッシングに走る前にこのマンガを読め! 福祉事務所職員が直面する現実

『健康で文化的な最低限度の生活』(柏木ハルコ/小学館)

 住民投票で否決された「大阪都構想」。ここでまたぞろ湧いて出てきたのが“生活保護バッシング”だ。

 本サイトは先日、今回の住民投票の背景にあったのは弱者デモクラシー=格差対決ではないかと分析したが、しかし、反対票が過半数を獲得した地域の生活保護受給率が比較的高いとされることを根拠として、ネット上では受給者に対するこんな暴言が飛び交っているのである。

「生活保護の選挙権を剥奪するしかない」
「自分のことしか考えていない者に投票権を与えること自体が間違っている」
「あらゆる権利を取り上げろ。こいつらに人権なんぞない」

 念のため言っておくが、生活保護制度は憲法で保障された生存権に由来するものであって、個人が生活保護を受けていること自体をバッシングするのはありえない。よしんば「不正受給」にのみ批判の的を絞っているのだとしても、実はその「不正受給」の内容は大きな誤解に晒されているのだ。

 そのことについて教えてくれるマンガがいま、話題を集めている。『健康で文化的な最低限度の生活』(柏木ハルコ/小学館、現在2巻まで刊行中)だ。本作は、生活保護のケースワーカーとして配属された新人公務員「義経えみる」の活躍をメインに描いている。「生活保護のケースワーカー」という知られざる職業を取り上げたお仕事マンガとしても十分に楽しめる作品だ。

 作者の柏木は本作の連載を始めるにあたり、約2年間の取材を行ったことをウェブサイト「まんがStyle」のインタビューのなかで明かしていている。

 確かに、作品中の一コマ一コマには生々しい現実感が漂う。

 例えば、声だ。えみる達が働く福祉事務所には、様々な声が溢れている。生活保護受給者の声はもちろん、それに対応する職員の声。そして電話からは不正受給を告発する怒声……。

 さらに第1話では、生活保護受給者の1人が自殺したことを告げられて呆然と立ち尽くすえみるに向かって、ある同僚がこうささやく。

「どうしようもなかったよこの場合……て言うか、
 正直
 この仕事しているとたまにあるからこういうこと……」
「まっ
 ここだけの話、一ケース減って良かったじゃん」

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