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橋下徹の“引退商法”に全面協力し続投ラブコール…テレビ局の無節操ぶりに呆れ果てた!

●メンタリティまで「芸能マスコミ」化したテレビ局の報道

 会見がこんな調子だから、各局の特番やニュース番組の報道も推して知るべしだ。

 開票当夜や翌日には、各局とも橋下が政治家になって7年半の歩みをVTRで振り返っていたが、どれも府知事就任直後の「(国の直轄事業負担金に抗議した)ぼったくりバー」発言や「教育委員会のクソ野郎」発言に始まり、「都構想」が劣勢の中、懸命に街頭で訴える最近の演説まで、あたかも「既得権益と抵抗勢力にたった一人で抗った改革者」のようなイメージの、安っぽい感動物語に仕立てていた。

「結局、テレビの人間はみんな橋下氏が好きなんですよ。やめてほしくないんです。都構想を表立って支持することはできないけど、心情的には共鳴している。だから橋下氏をヒーローのように扱う一方で、都構想反対派は、自民から共産までが手を組んだ既成政党の集団みたいな見せ方になってるでしょう。ほんとうは、学者や地域のさまざまな団体もこぞって反対し、若い子たちがボランティアでビラを配ったりしていた。そういうことが全部なかったことになっている」

 とは、ある在阪局の報道関係者である。

「橋下氏への共感に加えて、記者の能力の問題もある。たいして取材経験もない入社5年前後の人間がとりあえず橋下氏を追いかけ、その素材をセオリー通りにつなぐだけだから、そんなVTRばかりになるんです。若いから地域とのつながりもないし、市民の生活実感もわからない。反対派の人たちがなぜ反対するのか理解できないんです。地域振興会(自治会)や高齢者が『既得権益』だと橋下氏に言われれば素直に信じてしまう。上の人間がチェックすると言っても、大きな間違いがないかというぐらいのことですからね」

 権力者を監視・批判する姿勢もなく、客観的に取材・批評する能力もないとすれば、それは報道機関ではなく、ただの広報機関である。報道枠のニュース番組が「情報バラエティ」化しているばかりではない。そもそも作り手の側が人気者の機嫌を損ねることを恐れ、ひたすらお追従質問ばかりを繰り出す「芸能マスコミ」に堕しているというわけだ。

 それを証明するように、橋下のもとには今、テレビ各局からコメンテーターとしての出演依頼が殺到。なかには、故・やしきたかじんのような存在にしようと冠番組をつくる動きまであるらしい。

 おそらく、橋下はこれから売れっこテレビタレントの階段をのぼっていくだろう。そして、その先にあるのは安倍政権の改憲への全面協力、もしかしたら政界への復帰かもしれない。少なくとも、官邸は橋下をなんとか利用しようと、次の参院選か衆院選への出馬、それが無理なら、民間人閣僚や内閣参与への起用など、さまざまなオプションを用意するはずだ。

 テレビが生み、モンスターに育てた「テレビ政治家・橋下徹」は、大阪府政・市政に真に何を残したのか、混乱と不毛な対立だけではなかったのか、という問いを突きつけられることもないまま、意気揚々と「次」へのチャンスをうかがっている。
(安福 泉)

最終更新:2015.05.20 09:41

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