「メスが現実につがうのは、たいていの場合には理想とかけ離れた、中か中の下くらいのオスである。それでもつがうのは、取り敢えずのところ巣作りに協力するオス、子の面倒を見てくれるオスが必要だからだ」
まずは自分の居場所と庇護者を確保する。それが平凡な男との結婚だ。しかし本能は恐ろしい。それでも優れたオスの子どもが欲しい。そこで浮気が横行する。だが恐ろしいのはここからだ。
「誰もが理想の相手と結婚できるわけではない。そして結婚とはそもそもEPCをし、EPCの結果の子をダンナに育てさせるための方便に過ぎない。もし“いい男”の子どもを宿したとしても、その子を育てるのに協力してくれる夫がいなければ、いったいどうしようというのだろう?」
浮気相手の優れた子どもを、ダメ夫に育てさせる──。なんとなく理に適っているような。そして本書では動物だけでなく人間の女性の恐ろしき生態にも迫っていく。
それは女性の浮気行動についてのある調査結果だ。イギリス人女性3000人以上を対象にアンケート調査を行ったところ、女性が浮気に積極的になるのは30歳以降、夫との間に2〜3人の子どもをなしてからだという結果となったという。なぜか? そこには前述の鳥のメスと同様、人間女性の巧妙な作戦が存在すると著者は分析する。
「ダンナとの間に子が二人、三人、それ以上いるとしたら、どうだろう。それだけの既成事実があれば、そろそろ大丈夫かもしれない。たとえEPCの結果、子ができ、それがダンナにバレたとしても、彼は今やがんじがらめの状態である。妻と子を遺棄しようにも、自分の子までもが多数巻き添えをくらってしまう。仮に実の子だけを残し、妻と不義の子を追い出すにしても、残された子の面倒を誰が見るのか。もはやどうしようもないのである。彼としてはおとなしく振る舞う。家庭に波風を立てぬよう、その不義の子の面倒までをも見ることが最善の策ということになるのである。女の狙いはそこにある。女はその日が来るのを首を長くして待ち続けていたのだ」
つまり女は、来るべき時に備え冴えない男と結婚し、そして浮気をするということなのか。子どもの養育を保証してくれる男を結婚でキープし、その後、優秀な遺伝子を残すために浮気する。そして浮気相手の子どもを夫に養育させる。なんと巧妙で長期的な作戦なのだろう!
まあ、人間の恋愛や行動をすべて動物の行動にあてはめて解説する竹内久美子氏の分析はかなりトンデモな部分もあり、鵜呑みにするわけにはいかない。というか、そもそも、広末夫妻がこれに当てはまるという証拠もまったくない。
しかし、「メスのEPC」理論は少なくとも女の武器としては使えそうだ。男はよく「男というのは浮気をする動物だから」と言い訳するが、これからは女性も浮気がバレた時、「ダメ夫を持つメスがイケメンと浮気をするのは動物行動学的に理に適っているのよ」と強弁してやればいい。
(林グンマ)
最終更新:2017.12.23 06:55