3月4日に行われた第28回教育再生実行会議で挨拶する安倍首相。左奥は下村文科相(首相官邸ホームページより)
安倍晋三首相や菅義偉官房長官にも発覚した補助金企業からの不正献金。しかし、一方で岡田克也代表はじめ民主党議員にも同様の事実が次々浮上したため、「政治と金」追及の動きは尻すぼみに終わる気配が濃厚だ。
「表向き民主党はまだ追及の姿勢を崩していませんが、裏では自民と民主が国対レベルで決定的な追及はしないという手打ちが進んでいるようです。民主党が政治資金規正法の改正問題をもちだし始めたのはその現れでしょう」(全国紙政治部記者)
毎度のことながら民主党のだらしなさにはあきれ果てるが、心配なのは、この手打ちに乗じて、下村博文文科相の疑惑までうやむやにならないのか、ということだ。
いうまでもないが、下村大臣の疑惑は補助金企業の献金などとは全然次元のちがう悪質な不正だ。教育行政のトップにいるはずのこの大臣は全国各地に博友会という後援組織をつくらせ、政治団体の届け出をしないままパーティや講演会を開催。そこで集めた金を吸い上げていた。これは裏金といってもいいものであり、企業なら脱税に匹敵する行為である。
下村大臣は国会答弁で「私の事務所では(任意団体の博友会に)一切タッチしていません」と疑惑を否定したが、この事実を最初に報道した「週刊文春」(文藝春秋)が今日発売の第二弾で、組織の一つ、中部博友会の元幹部の実名告発を掲載。下村大臣に講演料を直接手渡していたことや、下村事務所が博友会の会費徴収の督促をしてきたことなどを証言した。
さらに、この後援会元幹部は記者会見を開き、下村大臣の嘘を徹底暴露している。普通なら、これでジ・エンドというところだが、新聞・テレビの追及は鈍い。
「官邸が総力を挙げて下村さんを守っていますからね。下村さんが安倍さんのオトモダチの中のオトモダチ、ということはもちろんですが、下村大臣がこの件で辞任なんてことになると、安倍首相も過去の傷を蒸し返されかねない、という危機感があるんでしょう」(全国紙政治部記者)
どういうことか。実は、安倍首相は過去に下村大臣とまったく同じ、政治団体の届け出をしていない団体を使って資金集めをしていた疑惑があるのだ。
名前を聞いたことのある読者もいるかもしれないが、この団体は「安晋会」という。安晋会の存在がはじめて取沙汰されたのは、2006年。耐震偽装事件をめぐる国会証人喚問でのことだった。耐震偽装マンションを販売したヒューザーの小嶋進社長が、国交省への事件もみ消しの働きかけを、当時官房長官だった安倍氏の秘書・飯塚洋氏に依頼していたことを証言。さらに、安倍氏の後援会「安晋会」に入っていたから、とその関係を説明したのだ。