実際、前出の共同通信OBの佐賀氏は、白石さんらが撮影許可を求めて事務所を訪問した際、こう言い放ったという。「明治から120年続く既得権益を手放すわけにはいかない」「ネットメディアとテレビが競合する。雑誌と新聞は競合する」。しかし、経済的既得権を守るため、大手メディアが束になってネットメディアを排除するというのは、なんとも度量の狭い話ではないか。ネットメディアの台頭に自信を失っている証左かもしれない。
さて、一般社会人の常識からすれば当然、白石さんらの主張が認められそうなものだが、14年10月13日に下された東京地裁の判決は、原告の訴えを棄却するというものだった。詳細は省くが、要するに、国会記者会にカギを渡して屋上管理を任せているのは裁量の範囲であって、不合理ではない、ということだった。ただ、判決文にはこうも記されていた。「インターネットメディアは多数かつ多様であるため、公平かつ妥当な対応のためには国と記者クラブとの協議や基準づくりが必要であった」。あまりに当然の指摘だった。
白石さんらは地裁判決を不服として、いま控訴審を戦っている。
(野尻民夫)
最終更新:2017.12.13 09:26