第3位 都知事を辞任するも「妻の死」を利用した復活した猪瀬直樹
その佐野の盗作問題を誰よりも早く指摘していたのが実は猪瀬直樹だったというのは、一部では知られた話だ。猪瀬は20年近く前、佐野が大宅賞の受賞候補にあがったときも盗作疑惑を出版関係者に吹き込み、阻止に動いたということがあったが、今回もツイッターで、盗作問題に火をつけた。
ところが、佐野を追い落とし、自らは東京五輪誘致を成功させて絶頂だったその猪瀬が5000万円受領問題で、都知事辞任に追い込まれる。佐野と同様、「攻めには強いが守りに弱い」ところを露呈し、その弁明は「カバンコント」のようにほとんどギャグとなってしまう有様だった。
その後は、東京・西麻布の事務所に蟄居し、動向も不明だったが、今年11月になって、これまた佐野と同様、突然反転攻勢に出た。
『さようならと言ってなかった わが愛 わが罪』(マガジンハウス)を突然出版し、テレビや雑誌出演で「復活」を果たした。だが、出版業界では、もともと猪瀬の居丈高な性格に反発する向きも多く、いまだに評判はよろしくない。
「今年初めに、旧知の出版関係者に手紙を書き、営業していたようです。最近もあちこちに電話をかけては、売り込みをしているみたいですね。しかし、猪瀬が作家として活動していたのは10年以上前の話で、その後は道路公団民営化に関わり、東京都の副知事、知事と政治家になっていくわけですから、いまさら作家の顔をされても……」(大手出版社幹部)
肝心の復帰作を読んでみても、疑惑については何も説得力ある説明はなされず、ひたすら亡くなった妻とのセンチメンタルな回想が続くだけだ。この出版不況下に、なんと初版は2万部も刷られたというが、世間のイメージが悪く、売れ行きはあまりよくないという。
11月、東浩紀とのイベントに出演した際には、なかなか明かしてこなかった全共闘議長時代のエピソードも多数披露し、ファンサービスに努めていた猪瀬。作家に戻れる日はくるのだろうか。