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年末特別企画 リテラの2014年振り返り

エルサ=雅子妃説まで飛び出した!『アナと雪の女王』論争総まくり

 だいたい、〈民草の悲憤慷慨は、エルサに届かないのだ〉と「文春」は非難していたが、そもそもエルサ自身がどうにかできるものではない。「エルサの魔法の能力というのは治さなくてはいけない病ではなくて、生まれつきの特性」(荻上氏)なのだ。個人に責任を押し付ければ、それはエルサの両親がそうしたように社会から隔離するか、ハンス王子が手下に命令したように社会から抹殺するしかない。しかしそうではなく、「社会の受け入れなさというのを直していくことが正解」だと『アナ雪』は指摘した──。「これがやっぱり『アナと雪の女王』の、これまでのいろんな映画とかディズニー映画と別の時代性をまとっている大きなポイント」というのが、荻上氏の見方だ。

 筆者の個人的な感想としても、この荻上氏の論評がもっともしっくりくると感じたが、もうひとつ荻上氏は重要な話をしている。日本語版の「Let It Go」の歌詞は“ありのままの自分を受け入れよう”というストーリーになっているが、英語版はそれ以前に「いままで『いい子でいろ』とか、いろんなことを言われてきたという抑圧の歴史が語られてきて、“そうした社会の抑圧から自分は解放されようじゃないか”というストーリーになっている」という点だ。

 年末年始にかけて、きっと繰り返し「ありの〜ままで〜」という歌を聴くことになるかと思うが、あれは「開き直りの歌」でも「わがままを肯定する歌」でもない。現代に誕生した一種のプロテストソングだということを、どうか覚えていてほしいと思う。
(水井多賀子)

最終更新:2014.12.29 12:00

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