●エレキテル連合、妖怪ウォッチ…流行の根底にある暗さとオカルト
今年の流行をつらつら思い出してみると、「これって実はオカルトでは?」と感じるものが多い。14年に入って一気に老若男女全てに“ブレイク”したものといえば、「妖怪ウォッチ」「日本エレキテル連合」だろうか。何故か近年流行りだした「ハロウィン」のお祭り騒ぎまで足してもいいかもしれない。これらに共通するものはホラー的・オカルト的・民俗的な、明暗で言えば「暗い」要素。今年は、オカルトが世間でポップに受け入れられてきた年だったのではないか。
ポケモンを脅かす躍進を見せた「妖怪ウォッチ」は、いわずと知れた妖怪キャラクター戦略の成功例。そもそも妖怪とは、怪異や不可思議のキャラクター化なので、ポップな娯楽性と相性が良いものではある。全国ですっかり浸透した「ゆるキャラ」にも、日本の妖怪文化の一面を見ることも出来るだろう。ともあれ、ここまでの大ヒットは水木しげる以来。妖怪というと「各地の民話」に伝わる、伝統的・民俗学的なものでなくてはいけないという概念を覆し、軽々と新しい妖怪キャラを創ってしまったところが成功の要因だろうか。
「ダメよ~ダメダメ」が流行語大賞に選ばれた日本エレキテル連合。白塗りの空気人形が喋るという寺山修司っぽさすら思わせる世界観が、子どもたちにまでウケるとは驚きだった。この他にも、「洞窟の中で体中ブツブツの生えた妖怪(神様?)が、ひたすら魚をストローで吸い続ける」という、本当にひたすら怖いだけのネタもあったりと、完全に振り切ったネタ作りをしている日本エレキテル連合。コンビ2人は、ドロドロとした暗い情念が自分たちの持ち味であり、そこを意識したネタ作りをしているだろうし、支持する人々もその暗さを敏感に感じ取っているのは間違いない。
そして、近年なんだか日本でも盛り上がるようになったハロウィン。もちろんホラーメイクをして集まる若者たちに、「死者が現世に戻る日のお祭り」といった宗教・民俗意識は一切ないだろう。しかしだからこそ、社会全般が無意識下でオカルトを受け入れているといった風潮を、より如実に示しているようにも思える。