しかし、実は今回、飯島参与の“予言”は、自分で言うほど的中しているわけではないのだ。飯島の予言が当たったのは「自民圧勝」というおおざっぱな現象だけ。選挙前の同連載12月4日号では自民党単独で300議席を予測。さらに12月18日号では、飯島は議席数について「間違いなく自民党が現有議席から上積みするよ」「小選挙区で二百四十。比例代表で七十三まで伸ばし単独でも計三百十三議席の圧勝だな」と断言していた。
ところが、実際の結果では、自民党は議席を減らし291議席に終わった。また民主党にしても前回より議席を伸ばす結果となっている。
また飯島は同じく12月4日号で、「小沢一郎、枝野幸男…大物落選候補を名指しする!」との記事中、上記の小沢、枝野以外にも、浅尾慶一郎、平沼赳夫、馬淵澄夫、赤松広隆、原口一博、高木義明を挙げ当落線上と指摘している。しかし蓋をあけたら。飯島が名指しした議員は全員当選!(高木義明だけは比例復活) まったくもって残念な結果に終わっている。
全国紙政治部記者が苦笑まじりにこう語る。
「たしかに飯島さんの言うように、自民党の事前調査では300議席をはるかに超える数字が出ていた。しかし、官邸と自民党はゆるみにつながるとこれをひた隠しにしていた。ところが、飯島さんがそれを『文春』でばらしてしまったんで、他のマスコミも追随。一気に自民党圧勝ムードが広まってしまった。官邸は頭を抱えていましたよ」
つまり、結果をはずしたのは、自業自得ということらしい。
そもそも、このところの飯島参与は、官邸の政策決定からは外され気味で、安倍首相や菅官房長官らからも疎んじられているという見方もある。
「飯島さんは一連の北朝鮮との交渉でも完全に外されていましたし、解散や選挙などにもほとんど関われていない。あの過剰な自慢は、焦りというか、逆に存在感を示すためのアピールじゃないでしょうか」(前出・政治部記者)
たしかに、ほんとうに政権の内部に食い込んでいれば、こんなに軽々しく内情を口にするわけがない。そう考えると、飯島参与もそろそろ政界の寝業師らしく安倍政権に見切りをつけて、かつての親分の息子・進次郎の参謀にでもなったらどうだろう。いや、それは、進次郎が嫌がるか(笑)。
(野尻民夫)
最終更新:2014.12.23 09:06