これらのデータを踏まえて考えると、格差拡大と貧困という問題が肥満率に少なからぬ影響を与えていることは明らかだ。「メタボを改善したら保険料減額」と言われても、実際には「やせたくてもやせられない貧乏人」は放置され、「やせた金持ち」が優遇されることになるだろう。安倍政権がドーピングのように強引に推し進めた金融緩和、円安による輸入食品や燃料費の高騰も相まって、貧困層の生活はさらに苦しくなっていくことが予測される。賃上げ率は過去15年間で最高の2.07%というが、物価高騰の影響も加味した「実質賃金」は16カ月連続で前年同月比マイナスだ。それでも「肥満は当人の責任」だとして、自助努力による改善だけを求めるのか。
投開票が明日に迫った衆院選では、自民党の圧勝が濃厚な気配だ。国民に自己責任を要求し、弱者を切り捨てる──選挙後に「経済政策で信任された」という免罪符を得た安倍政権が、さらに格差が広がる政策を次々と打ち出すことが懸念される。
(大迫進次)
最終更新:2014.12.13 04:29