小説、マンガ、ビジネス、週刊誌…本と雑誌のニュース/リテラ

景気失速!実は安倍政権がこっそりアベノミクスに見切りをつけていた!

 さらに同書では第二の矢による「公共事業拡大による国土強靭化」は自民党を支える建設業界を潤わせただけで、「今後、供給能力が不足する建設業界で需要を拡大させても、生産の拡大には結び付かない」。第三の矢「成長戦略」は始まってもいないという。いや、始まってもいないというか、おそらく始まらない可能性が高い。どうも、アベノミクスはすでに「終わっている」ようなのだ。

 実は、政権自体も、三本の矢のアベノミクスに見切りをつけた可能性が高い。9月29日の臨時国会冒頭の首相の所信表明演説。安倍首相は演説の中で、臨時国会の重要課題と位置付ける「地方創生」と「女性が輝く社会」を強調したが、その一方で「三本の矢」という言葉を使わなかった。

「三本の矢は世の中の空気を一変させた」(昨年10月の所信表明演説)
「日本経済も三本の矢によって自信を取り戻しつつある」(今年1月の施政方針演説)

「三本の矢」は首相が政権の経済政策をアピールするのに使ってきたキラーフレーズだったのに、今回の所信表明では一言も発せられなかったのである。

 東京新聞は9月30日付紙面で「首相所信表明『経済』進まず『地方』前面」と題し、「成長戦略がうまくいかない局面で『地方』を持ち出して、国民の目先を変えようとしている」という政府関係者の解説を紹介している。

 しかも、冒頭の麻生財務相の発言のように、安倍政権はなお、消費増税を断行する姿勢を崩していない。この状況で消費税が10%に引き上げられることになったら、消費はさらに落ち込み、日本経済が奈落に落ちていくのは目に見えているではないか。

 実は日本の消費税増税については世界的にも疑問の声が噴出している。英経済紙のフィナンシャル・タイムズ(アジア版)は8月29日の社説“Abe must keep his project on track”で、米紙のニューヨーク・タイムズは9月11日の社説“Fixed for Japan's Economy”で再増税の延期論を展開した。

 さらに、これまで『そして日本経済が世界の希望になる』(PHP新書)などで、アベノミクス(安倍政権の経済政策)を支持してきたノーベル賞経済学者のポール・クルーグマン(プリンストン大学教授)までもが「日本経済は消費税10%で完全に終わります」と警鐘を鳴らし始めた(現代ビジネス,「経済の死角」9月16日付)。

 アベノミクスを終わらせるのは勝手だが、日本経済を終わらせて、国民生活をさらに逼迫させる暴挙だけはやめてもらいたい。
(小石川シンイチ)

最終更新:2015.01.19 05:12

関連記事

編集部おすすめ

話題の記事

人気記事ランキング

話題のキーワード

リテラをフォローする

フォローすると、タイムラインで
リテラの最新記事が確認できます。