ところが、そんな中、なぜか昭恵夫人が「吉松さんと一緒に闘う」と全面擁護を宣言したのだ。当時の昭恵夫人のFacebookには吉松氏とのツーショット写真付きでこんな書き込みがある。
「昨年のミスインターナショナル、吉松育美さんと。マスコミの皆さん、特定秘密保護法の批判をするのなら、彼女のことをきちんと報道して下さい。全ての女性のために吉松さんと力を合わせていきたいと思います」(13年12月25日)
さらに「週刊文春」(14年2月27日号)では、吉松と「大手芸能プロ幹部のストーカーを報じない日本マスコミの異常性」という対談をして、「今回、主人が総理になってから、女性がもっと輝ける社会をつくっていくために取り組んできた。そんな中で、彼女の問題が闇に葬られてしまっては絶対に良くない」と気炎をあげた。
昭恵夫人の本の出版を進めていた幻冬舎がこのことに頭を抱えたのは想像に難くない。というのも、幻冬舎の見城徹社長はまさに、バーニングの周防社長の側近中の側近で、バーニングがらみのタレント本を次々出版する一方、バーニングの情報コントロールに全面協力してきたからだ。かつて「サンデー毎日」がバーニング批判キャンペーンをはった際には、記事に圧力をかけるべく直接当時の編集長に働きかけたこともある。
「いくら蜜月の安倍首相との関係で始まった出版企画とはいえ、昭恵夫人は周防社長のグループに真っ向から噛み付くような行動をしたわけですから。見城社長としては周防社長の顔に泥を塗るようなまねはできないでしょう」(前出・出版関係者)
それにしても、昭恵夫人はなぜ、自分の夫の人脈に影響を与えるような行動をしたのか。おそらく昭恵夫人に他意はない。「文春」の対談で昭恵夫人はツイッターのコメントで吉松氏のことを知り、自分からその日のうちに連絡をとったと明かしている。とにかく思いついたら、即、行動し、周りのことなんか気にしない人なのだ。
実際、冒頭のコメントにもあったように、夫人はともすれば、安倍内閣の足を引っ張りかねない主張であっても、それが正しいと思ったら平気で口にする。その最たるものが原発に関するスタンスだ。安倍首相は原発再稼働を声高に主張し、また海外への原発輸出に熱心だが、昭恵夫人は正反対だ。
「原発に関しては、これからどんな天変地異があるかわからない。何かあった時に、本当にパッとコントロールできるんだったらいいけれど、それができない限り、やっぱり私は反対なんですね」(「女性セブン」13年1月24日号)
「(日本が)外に原発を売り込んでいることに、私は原発反対なので、非常に心が痛むところがあるんです」(13年6月6日 参議院議員会館で行われた講演での発言)