まさかそこまで、という感じがするが、古賀によれば、安倍政権は軍事的列強に名を連ねるために具体的な政治目標を設定し、それをひとつずつクリアしていっているという。その目標はすでに達成されたものも含めて全部で13。古賀はこれを「戦争をするための13本の矢」と呼んでいるが、以下のようなものだ。
1、 日本版NSC
2、 特定秘密保護法
3、 武器輸出三原則の廃止
4、 集団的自衛権の行使容認
5、 「産めよ増やせよ」政策
6、 集団安全保障での武力行使の容認
7、 日本版CIAの創設
8、 ODAの軍事利用
9、 国防軍の保持
10、 軍法会議の設置
11、 基本的人権の制限
12、 徴兵制の導入
13、 核武装
5番目までは既に決定され、11番までが議論がスタートしている。後は徴兵制と核武装——まさに悪夢のような「戦争国家」への道だ。
いやいや、日本は戦争なんかしない。徴兵制なんかありえるはずがない。多くの人が今でもそう思っているだろう。しかし安倍政権の動きを見るとそれこそがむしろ現実を知らない楽観論だと古賀はいう。
その根拠として古賀があげているのが、自民党の「憲法改正草案」だ。例えば11の基本的人権に関しては現行の憲法にはないこんな一文が書かれている。
「(国民の)自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない」
また集会、結社、言論出版の自由にしても同様だ。改正草案では公益や公の秩序を基本的人権の上に置き、人権を制限すると解釈できるのだ。その目的について本書ではこう結論づける。
「いざ戦争という時を想定し、国が自由に国民の権利を制限できるようにしておこう、とういう意図である」
つまり徴兵制である。集団的自衛権の容認で自衛隊員の確保が厳しくなっていることは既に指摘されているが、そうなれば必要となるのが徴兵制だ。