中には「やめられない自分」を止めるために自殺に至るケースもある。子ども相手の性犯罪を繰り返して逮捕され、服役した30代の男Gは「性犯罪者に再びならないようにして欲しい」と、ある医療関係者のもとで、カウンセリングを受けていた。ところが、「カウンセリングを続けても、Gの性的妄想は止まらなかった。(略)自分の再犯の可能性に怯え続け、カウンセリングの最中に『何とかならないのですか』と語気を荒げることもあった」という。そして、通院から1年が経った頃、遅刻することのなかったGが初めて約束の時間に現れず、その1週間後に警察から医療関係者のもとへ連絡があり、Gの自殺を知らされた。
親の影響、また激務など、様々な要因で日常生活に満たされなさを感じ、性犯罪へ手を染める者、また服役を経ても自身の性衝動に怯え続ける者たち。筆者はこう分析している。
「事件を起こした性犯罪者たちは、誰もが生まれながらにして『性犯罪者』だったわけではない。どこかで、普通に生活をしている人たちと違う道に入ってしまったのだ。しかも、それは、ある日突然道を間違えるのではなく、少しずつ間違いを積み重ねていき、気がついたときには大きく踏み外してしまっている」
我々もまた、いつ道を踏み外してしまうか分からないということなのだろうか。
(高橋ユキ)
最終更新:2014.09.16 06:45