このようにベビーカーひとつで「目に見える経済格差」により“格付け”されるママ達。さらに「教育方針」や「有職か専業主婦か」といったことでも細かくグルーピングされてしまうという。
例えば子どもを保育園に入れるか、幼稚園に入れるかでもそれは大きく分かれる。
保育園はフルタイムで仕事をするママが多く集まり、幼稚園は主にパートや専業主婦ママが集まる。よって保育園ママと幼稚園ママは「行動の範囲、時間帯、そして、子育てへの考え方も違う」のだ。そのためこの両者が積極的に交わることはない。いや、交わらないどころか相手を“見下して”もいる。
ある医師の“幼稚園”ママは、週に一度だけ勤務し、他の曜日は娘の習い事の付き添いにあてている。そして同じマンションに住む“保育園”ママに対しこう毒づいたという。
「保育園に子供を預けっぱなしなんて信じられない」
まさに自分の価値観、子育て観の押し売りだが、ママたちはこうして自分と異質なものを排除し差別し、自己正当化するのだ。当然トップに君臨するのは専業主婦だが、働くママの中にも順位・カーストが存在するという。
「自己実現のために働く正社員ママ」「学費のために働く契約社員のママ」そして最底辺は「家庭の問題などで心身を病んでいるなど“働きたくても働けないママ”」だ。
この区分自体、いかがなものかと思うが、ママカーストとはこんな“差別”に満ちあふれているらしい。
さらに住んでいる場所も当然 “カースト”が存在する。
本書には、東京大田区の高級住宅街である田園調布在住の専業主婦ママのインタビューが掲載されているが、彼女によれば「同じ大田区でも、田園調布と蒲田は大違い」なのだとか。
「大田区って昔から格差がある区なんですよね。田園調布みたいな高級住宅地もあれば、蒲田、羽田や糀谷といった工業地域もあって」
確かにその通りではあるが、彼女たちの差別意識はちょっとすごい。
田園調布に住むのは『自己実現のために働くママたち』が多く、下町の蒲田は「働きたくても働けない専業主婦」。こうして田園調布ママは蒲田ママを差別する。
高級住宅街に住んでいるセレブとは思えない下品な発想だが、これこそが彼女たちの意識本音なのだから仕方がない。