『スパルタ婚活塾』(文響社)
婚活という言葉が出現したのは2007年のことだ。以降、婚活パーティー、婚活請負人、婚活ドラマ、そして婚活本など“便乗ビジネス”が出るわ出るわ。ノホホンとしていては結婚などできない、婚期が遅れる! という時代の象徴、脅迫ビジネスでもあるが、それは2014年の現在も変わらない。いや、それはますます加速しているといっていい。
だが今年8月に出版された『スパルタ婚活塾』(水野敬也/文響社)は、これまでの婚活本とはちょっと変わったマニュアル本だ。なにしろ著者は、ダブルミリオンの売上げを叩き出した自己啓発小説『夢をかなえるゾウ』(飛鳥新社)の作者・水野敬也。水野は、恋愛マニュアル本『LOVE理論』(文響社)をヒットさせ『スパルタ恋愛塾』というDVDを世に送った恋愛の達人でもあるのだ。そんな水野の婚活スパルタぶりは冒頭から炸裂する。
「女よ。今、この文章を読んでいる貧乳のお前だよ」「『別に結婚願望なんかないんですけど』などと言おうものなら、その瞬間に強烈なビンタを食らわせ、気絶したところを強引に玉の輿に乗せる」と威勢良く豪語するのだ。そんなスパルタ婚活塾とは一体どんなものなのか。
まず基本は「会話」術らしい。ここでも水野はこれまでの常識について一発かます。
多くのマニュアル本に書かれている「女性としてのマナーを大切にしましょう」『男性の話が盛り上がるように聞き上手になりましょう』『男性の自尊心をくすぐるようなホメ言葉を言いましょう』なんて“常識”は大間違い。これらは男のニーズを無視したものであり、はっきりいってキモい!というのだ。そして会話で一番大切なのは「ツッコミを入れること」だと説く。
「俺は大学四年間、六本木のカラオケパブでアルバイトをしていた。その店には六本木のキャバクラや銀座のクラブのアフターで来る客が多く、そしてその中にはいわゆる美人でないのにお金持ちの男を次から次へとつれてくる女がいて、俺は彼女たちがどのような会話をしているのかつぶさに研究していた」
その結論が「ツッコミ上手な女」ということらしい。
ツッコミを入れるということは、相手の発言の意図を正しく理解していることで、しかも退屈な予定調和ではなく、スリリングで魅力的な会話に発展する。しかもツッコムことで「男の上の立場にポジショニングができる」のだという。
例えば男が「俺、料理得意なんだよね」と言ったら「すごいね。今度食べさせて」はNG。正解は「出た、料理得意アピール」とツッコミ、続けて「そうやって女の子を部屋に連れ込んでるんじゃないの?」と暗に男がモテてると持ち上げる。さらに「今度ホームパーティしよう。私が判定してあげる」と話を進め、実際ホームパティーで料理を褒める。これで男の心は大きく揺さぶられ、女のペースにはまっていくといった具合だ。「『男の上に立つコミュニケーション』こそが、顔や年齢を凌駕する最強のスキル」と水野は言う。
なるほど。