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もはやヘイトスピーチ? 嫌韓本トンデモ発言ランキング(前編)

★第6位 宮脇淳子「一応このウィキぺディアの『金日成』も使って話していこうと思います」
『真実の朝鮮史[1868-2014]』(共著者・倉山満/ビジネス社/2014年)

 ■「大陸の歴史」専門家は「ウィキペディア」信奉者?■

 ご本人曰く「モンゴル史を含めた大陸の歴史の専門家」である宮脇淳子氏と保守系コミンテルン史観でおなじみの憲政史研究者の倉山氏の対談集。国士舘大学21世紀アジア学部の非常勤講師仲間で「毎週、非常勤講師控室で四方山話をするのが楽しみ」だった二人が、『真実の中国史』『真実の満州史』に続いて、朝鮮半島版を出すにいたったシリーズだ。「シナ大陸からの視点と日本列島からの視点で、朝鮮半島の歴史を語る」という試みだったが、戦後の話題になると韓国よりも「北の方が問題です」と、北朝鮮の話題に乗り出す。

 そして、「和田春樹のような左の人でもやっぱり日本人なので、材料やら史料やらを丁寧に当たって、あるところまでは本当のことが書いてある。結構洗いざらい書いてあります」と読むべき史料がたくさんあるといっていたのに、次の瞬間、こんなセリフをはくのだ。

「ほかにまとまった資料もないので、一応このウィキぺディアの『金日成』も使って話していこうと思います」

 え? 意味がわからないんですけど? 北朝鮮に関する研究というのは、たくさんの人たちがやっていて、読むべき史料がいっぱいあるんじゃないの? なのになぜ「ウィキペディア」?

 ウィキぺディアとは周知のように、ユーザーの手によって作成・推敲しているフリー百科事典サイト。口さがない人に言わせれば「書式のある2ちゃんねる」ともいわれる事実関係に疑問符のつくサイトではないか。研究者はもちろん、大学生レベルでもウィキからの論文への引用はご法度だ。

 しかし、この対談では、「金日成は複数いて、もともとはソ連軍の将校で、朝鮮戦争も金日成の指示だった」と、「ウィキぺディア」に書いてあることがまるで正しいかのように引用しながら議論が進んでいく。宮脇先生の授業では、学生がウィキを引きうつして論文を書いても怒られたりしないんだろうか。


 ということで、今回はここまで。嫌韓本トンデモランキング続きの5位〜1位は、明日日曜日に配信予定。もっとトンデモがいっぱいなので、お楽しみに〜。
(エンジョウトオル)

最終更新:2014.09.23 08:51

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