★第8位 呉善花「韓国人は、(中略)目に見えない所では平然と誤魔化しをやって当たり前だと思っています」
『日本人は中韓との「絶交の覚悟」を持ちなさい』(李白社/2014年)
■保守オヤジを喜ばす韓国出身女性論客の日本ユートピア論■
嫌韓本に共通しているのは、「世界中で韓国だけは日本と同じ文化・慣習、ルールでなくてはいけない」という思想。たとえば、欧米やインド、南米であればお国柄として許されるようなことでも、隣国である韓国だけは日本と同じでなければ許されないのだ。
そのわかりやすい例が呉善花氏の発言だろう。呉氏は済州島出身ながら、日本に留学後、親日派として韓国批判を展開するようになった女性論客。その後、韓国から入国拒否にあうなどして、韓国批判をますますエスカレートさせている。
その呉氏は先の発言に続き「日本人は誰も見ていないからちょっと誤魔化してやろうという根性はとても醜いものだ。みっともないものだといいます。(中略)しかし、韓国には、人を騙すのは普通にあることで、騙されたほうが悪いとすらいいます」と日本との比較で韓国をけちょんけちょんにけなしている。
でも、たとえば、こういう正直さについて語られる時も、日本と南米と比べるような場合は逆に「日本人は南米に比べてマリーシア(ずる賢さ)が足りない」などといわれたりするのだ。それがなぜ、韓国の場合は日本に比べて劣っているという比較のされ方しかしないのだろう。
ていうか、そもそも国民性ってこんなに単純なものなのか。もし、彼女のいうことが正しければ、日本には政治家の汚職も企業の不祥事隠しも詐欺もほとんどないということになる。
もっとも、こうした日本“ユートピア”論は恵まれた環境に生まれ育った保守層にとっては、たまらなくうれしいものだろう。呉氏はある意味、保守オヤジたちのツボをおさえているといっていいかもしれない。
★第7位 倉山満「大震災で家を焼かれたときに敵国のスパイの手先が暴れ回るとして、冷静になれと言うほうがおかしい」
『嘘だらけの日韓近現代史』(扶桑社新書/2013年)
■関東大震災の朝鮮人大虐殺も「ソ連の手先」と正当化!■
日本近代史に詳しいとされ保守系ネット動画でおなじみの憲政史研究者の倉山氏。この『嘘だらけの日韓近現代史』は『日米』『日中』に続くシリーズで、この本もベストセラーにランクインし、8万部超になった。
歴史上の通説の“嘘”を鋭く指摘する舌鋒にわが意を得たりと膝をうつ保守系読者も多いようだが、今回は、関東大震災時の『朝鮮人大虐殺』にも果敢に切り込んでいる。通説では、震災後、時の警視庁官房主事(後に読売新聞社主となる)正力松太郎が各新聞の記者に、「井戸に毒を」というデマを流布したことがきっかけ。これを鵜呑みにした「不逞鮮人」報道が大きく広がり、「朝鮮人大虐殺」につながったとされている。
しかし、最近の嫌韓ブームに乗ってか、どうも保守派の間では別のストーリーが主流になりつつあるようだ。“当時、「不逞鮮人」の大規模な暴動があったのは間違いなく、暴動を鎮圧する動きが虐殺にエスカレートしたのではないか”といったストーリーだ。つまり、「日本人だけが悪いわけではない」という立場だ。
この新説にさらに拍車をかけるのが、倉山氏の「コミンテルンに指嗾された『不逞鮮人』」説だ。なんでも、共産主義の国際団体であるコミンテルンが日本に共産主義革命を起こすべく、大震災に乗じて、「不逞鮮人」たちに暴動を起こすように働きかけた。日本人がその勢力と果敢に戦った結果が「朝鮮人大虐殺」だったというのだ。
もしかしたら倉山氏は「コミンテルン」陰謀論者なのだろうか!? そういえば、『嘘だらけの日米近現代史』でも日米開戦のきっかけは「ソ連は世界中にスパイを放ち、特に日本の近衛内閣とアメリカのF・ルーズベルト政権の中枢を固め、日米両国を戦争に向かわせて共倒れに持ち込んだ」などとすべてはコミンテルンのせいとばかりの「コミンテルン」陰謀論を展開していた。
倉山氏の本はジャーナリズムというより、パラレルワールドのファンタジーとして読んだ方がいいのかもしれない。