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佐世保女子高生殺害は防げた! 動物虐待は凶悪犯罪の予兆との研究

 実際、米国で収監、または収監の可能性のある10代の少年96人を調査したところ、収監中の50%、そして収監の可能性のある少年の21%が過去1年の間にわざと動物を虐待していた。それは強姦、殺人犯など暴力的犯罪において、より比重が上がる傾向さえあるという。

「犯罪傾向のある暴力的成人男性は、そうではない男性よりも、少年時代、はるかに動物虐待をしていた可能性が高い」

 幼少期の動物虐待が、その後続いて起こる暴力や犯罪を早期警告するサインという調査結果が出ているのだ。動物虐待歴のある子どもが将来対人暴力を起こす可能性は一般に比べ5倍との調査もあるという。さらに、親から虐待を受けた生育歴がある子どもが、より弱い存在である動物の虐待へと向かうという傾向も指摘されている。

 また全米人道協会副会長のランダル・ロックウッドは、毎日新聞(2001年8月14日付夕刊)のインタビューで、「動物虐待は人間への暴力行為に向かう前のシグナル」として、こう話している。

「動物を虐待する少年は将来人間に暴力を向ける可能性があり、ペットを虐待する親は子供を虐待している可能性があり、動物を虐待する子供は親から虐待されているか、親の暴力を目撃している可能性が高い」

 動物虐待は凶悪犯罪だけでなく、幼児虐待、DVなどさまざまな暴力行為と密接にリンクしている。こうしたその考えにもとづき、米国では様々な対策、対応が試みられているという。

 以上は、日本でなく米国の文献や研究者の調査結果を基にした論考だ。だが米国の研究を取り上げたのには、理由がある。日本でも犯罪と動物虐待との関連が指摘される中、「動物虐待」と犯罪との関係について、未だほとんど研究がなされていないからだ。

 帝京科学大学アニマルサイエンス科の准教授であり、精神科医の横山章光氏は、06年に行われた動物虐待と犯罪に関するシンポジウムにあたり、ネット上でこんな文章を掲載している。

「日本においては、驚くべきことに、動物虐待と対人暴力についての研究は皆無なのです。そのため、我々はどう介入したらいいのか、どう治療したらいいのか以前の問題として、どのぐらい動物虐待があって、それがどう犯罪に結びついていくのか、さえ分かっていない状態です」

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