他にも、言葉の響きだけで何となく選んでしまう化粧品の筆頭が「無添加」や「オーガニック」という優しくナチュラルな響きの売り文句の商品。しかしここにもいくつもの落とし穴があるという。
「無添加」の場合、実は「パラベンフリー=防腐剤フリーといっているわけではない」し、そもそも化粧品に菌が入って増殖するほうが怖いこと。「害のない防腐剤だったら入れてもいいし、逆に入っている化粧品のほうがより安心」らしい。
また「オーガニック」についても「統一で決まった厳密な規定」があるわけではなく、「国によってその基準はさまざま」だという。生産国によっては製作工程でケミカルなものを使っても「オーガニック」と呼んでもいいらしい。無添加、天然ものなどの言葉のレトリックも多いという。
「天然のものでも、体に害があるものはたくさんあるし、食品アレルギーがあるように、天然のものにアレルギー反応を起こす方もたくさんいます。《ケミカル=化学物質=有毒》、《オーガニック=天然成分=安全》という図式は間違った解釈」なのだとか。
さらに近年流行りの「ノンシリコン」も要注意。そもそも「シリコン」とは、有機ケイ素化合物ポリマーのことで、「水をはじく性質を持っていて、油のようなベタつきがないのに耐水性が高いのが特徴です。酸化しにくく、皮膚に対する安定性も高いため、シャンプーや日焼け止めなどにも使用されています」という優れもの。だがそんなシリコンに近年、「髪を痛める」という噂が広がり「ノンシリコン」ブームとなったのだ。しかしこれも迷信に近いものらしい。
「実際には(シリコンは)髪や頭皮への影響はないと考えられています。パーマのかかり具合やトリートメントの浸透率にも影響がないという説が有力です」
ようするに私たちが信じ込んでいる常識の多くは、なんの根拠もない“都市伝説”ということなのだ。化粧品選びは、噂、宣伝フレーズに惑わされず、自分に合った効用をきちんと精査することが大切だろう。
(羽屋川ふみ)
最終更新:2014.07.17 07:04