労働時間を減らされた男性アルバイト(当時26歳)は、「フリーター全般労働組合」に相談。バイト仲間とともにユニオンを結成し、会社に通知した。ところが3日後、バイト全員へスタンドのセルフ化を理由とした「解雇予告通知」が届く。彼らは団体交渉を申し入れ、ストに突入した。「アルバイトなんだから仕方ないだろ!」と言う店長。男性はこのように語っている。
「法律でも、アルバイトとかそんなの関係なく労働者は労働者として権利がありますし、アルバイトだからしょうがないと使い捨てるような会社が、正社員をマトモに扱っているかと言えば、そんなことはない」
「ブラック企業」という言葉に明確な定義はないが、近年では正社員を使い捨てる企業というニュアンスで用いられる傾向にある。企業は「ブラック」という風評を回避するために、労働環境改善の取り組みや正社員への福利厚生の充実などを表向きは行ってきた。そのしわ寄せが、かねてから流動的な労働者であった非正規雇用に向かってきているという見方もできる。
店長や現場責任者までもがアルバイトで、正社員が一日に一度も現場に顔を出さないという職場も珍しくない。すき家ストライキ騒動が大きな注目を浴びた今、企業は真剣に非正規雇用労働者に対しての考え方をあらためなければならない段階に来ている。
「ワンオペ」だからこそ、たった1人で臨時休業に追い込むことだってできる。それが個人加盟合組との連帯によって波及していけば、日本全国どこへ行っても深夜のすき家は真っ暗――“同時多発的1人スト”をちらつかせた団交は、決して夢ではない。
アルバイトの逆襲は始まったばかりだ。
(HK・吉岡命)
最終更新:2014.07.04 08:04