萩生田光一の言論弾圧体質 “萩生田と統一教会”報道フェイドアウトの背景
さらに、内閣改造および自民党人事が発表された際も、統一教会と接点があるにもかかわらず引き立てられた閣僚などに対する批判が撒き起こったが、当時からズブズブの関係にあることが明らかだった萩生田氏が政調会長に就任したことについては、なぜかあまり厳しく批判されず、それどころか「俺は骨格じゃないのか」発言をヨイショするメディアまで出てくる始末だった。
そして、こうしたテレビ局の弱腰な報道の背景にあると見られていたのが、萩生田氏の“報道圧力体質”だ。民放の政治部記者はこう語る。
「各局とも萩生田さんのことはすごく恐がっていますからね。萩生田氏はこれまで自民党や自分に対する批判については、露骨に抗議や圧力をかけてきた。それがあるので、どうしても及び腰になってしまう」
たしかに、萩生田氏といえば、自民党筆副頭幹事だった2014年の解散総選挙の際、『NEWS23』(TBS)が放送した街頭の声にブチ切れた安倍首相の意を受けて、在京キー局に向けて〈選挙時期における報道の公平中立ならびに公正の確保についてのお願い〉なる恫喝文書を送りつけたことで知られている。また、2017年には、加計学園問題で安倍晋三・元首相と加計孝太郎理事長、萩生田氏のスリーショットが出回ったうえ、文科省に圧力をかけていた事実が浮上したが、テレビ朝日の『グッド!モーニング』が田原総一朗氏の「萩生田氏は加計学園問題のいわば一番の責任者」というコメントを放送すると、テレビ朝日に対して猛抗議。田原氏のコメントは正当な論評の範囲内であったにもかかわらず、わずか3日後に謝罪をさせてしまった。
「一方で、萩生田氏は自分の言うことを聞く記者には、情報を流してくれるので、応援団も多いんです。安倍元首相も飴と鞭でマスコミを手なずけて批判を封じ込めて権力を維持してきたが、それと同じやり方をしている感じですね」(前出・民放政治部記者)
実際、萩生田氏が生稲氏とともに八王子の統一教会施設を訪問していたことが発覚したあとにようやく開いたわずか5分程度のぶら下がり取材も〈調整に動いたのは懇意にするテレビ朝日の女性記者〉(「週刊新潮」9月1日号)だという。この記者は「萩生田氏のお気に入りなのは公然の秘密」「氏が官房副長官時代、テレ朝が組閣人事のネタを抜けたのは彼女のおかげだった」と言われているというが、他社からは「そもそもテレ朝は幹事社でもないのに、なんで取りまとめをしてるんだ」という批判の声があがり、この記者と萩生田氏が「質問は3問まで」と勝手に取り決めたことに対して激昂する社もあったという。
そして、番記者を通じた報道圧力の結果、止んでしまった萩生田政調会長の追及。逆に強まったのは、自民党政調会長としての存在感を高めるような報道──。つまり、圧力にあっさり怯んでしまうメディアの体質が、萩生田氏をますます増長させ、統一教会問題などなかったことにさせてしまっているのだ。