“萩生田の統一教会癒着”追及なぜ甘い? 安倍政権下でも数々の圧力をかけてきた萩生田の言論弾圧体質
ところが、である。新聞やテレビでは逆の現象が起きている。内閣改造について「統一教会問題に配慮し密接関係のあった閣僚は交代になった」「新閣僚も統一教会と関係がないか徹底的に身体検査」などと報じながら、ズブズブの関係にある萩生田氏が政調会長に就任したことについては、なぜかあまり厳しく批判しないのだ。それどころか、9日の「俺は骨格じゃないのか」発言をヨイショするメディアまで出てきている始末だ。
「『経産相を継続したい』『骨格じゃないのか』発言は、『外された』ことを強調して、政調会長就任への批判かわす作戦だろう。一部のマスコミはそれがわかっているのに、『異例の発言』などと持ち上げているんだよ」(政治評論家)
実は、テレビの萩生田氏への追及の甘さは、統一教会と政治の問題が浮上した当初からずっと続いているものだ。末松文科相、山口環境相、さらには福田総務会長の「何が問題かわからない」発言については、かなり踏み込んで批判していたテレビ局だが、彼らよりはるかに深い関係が明らかになった萩生田氏にかんしては、さらりと事実関係が紹介されるだけ。ほとんど批判らしい批判をしてこなかった。いったいこれはなぜなのか。民放の政治部記者が語る。
「各局とも萩生田さんのことはすごく恐がっていますからね。萩生田氏はこれまで自民党や自分に対する批判については、露骨に抗議や圧力をかけてきた。それがあるので、どうしても及び腰になってしまう」
たしかに、萩生田氏といえば、自民党筆副頭幹事だった2014年の解散総選挙の際、『NEWS23』が放送した街頭の声にブチ切れた安倍首相の意を受けて、在京キー局に向けて〈選挙時期における報道の公平中立ならびに公正の確保についてのお願い〉なる恫喝文書を送りつけたことで知られている。
また、2017年、加計学園問題では、安倍元首相と加計理事長と萩生田氏のスリーショットが出回ったうえ、文科省に圧力をかけていた事実が浮上したが、テレビ朝日『グッド!モーニング』が田原総一朗氏の「萩生田氏は加計学園問題のいわば一番の責任者」というコメントを放送すると、テレビ朝日に対して猛抗議。田原氏のコメントは正当な論評の範囲内であったにもかかわらず、わずか3日後に謝罪をさせてしまった。
「一方で、萩生田氏は自分のいうことを聞く記者には、情報を流してくれるので、応援団も多いんです。安倍元首相も飴と鞭でマスコミを手なずけて批判を封じ込めて権力を維持してきたが、それと同じやり方をしている感じですね」(前出・民放政治部記者)
つまり、こうした萩生田氏の言論弾圧体質が、統一教会と同氏の癒着追及の甘さを生み出しているということだろう。実際、今回、テレビ朝日がほとんど統一教会問題を報じていないことが大きな問題になっているが、これも萩生田氏が関係しているのではないかという推測まで流れているほどだ。
しかも、萩生田氏のメディア恫喝の力はこれからどんどん大きくなっていくだろう。すでに、極右勢力やネトウヨ連中も同じ思想を持つ萩生田氏にどんどん乗っかろうとし始めているが(有本香氏などはさっそく「ハギー」などという愛称で萩生田氏のことを持ち上げている)、安倍元首相のときと同じように、彼らが応援団になれば、マスコミはますます批判しづらくなっていくはずだ。
安倍元首相の死によって右派が無力化していくなどと解説する評論家もいるが、それは楽観的すぎる。言論の自由と民主主義を破壊するファシスト政治家が権力を握るのを阻止するためにも、萩生田氏と統一教会の関係を徹底的に追及していく必要がある。
(編集部)
最終更新:2022.08.10 02:16