大阪の集団接種会場は松井市長の支援者関連施設、市長の指示を示唆するメールも
維新最高幹部である東議員の支援者であるクリニックがありえない量のワクチン供給を受け、さらには同じく東議員を支持する人物が代表取締役を務める不動産会社が運営する施設で大型接種がおこなわれた──。その上、「週刊新潮」から直撃を受けた東議員は、ただクリニックへのワクチン大量供給について「まっっっっっったく関係ありません。私に介入の余地はありませんよね」と答えながら、自身の支援者が運営する施設が会場になった件については、「私は『こういう所がありますよ』と多田さんにアドバイスしたくらいです」とコメントしていた。これは、同クリニックのワクチン接種会場の開設には少なくとも関与していたということではないのか。
吉村洋文知事を筆頭とする維新政治のコロナ失策によって大阪府民を命の危険に晒しつづけながら、ワクチン接種事業を支援者の優遇に使ったのではないかという、この疑惑。しかも呆れるのは、維新とワクチン接種事業をめぐるこうした疑惑は東議員にかぎったものではない、ということだ。
ほかでもない、維新の代表である松井一郎・大阪市長にも、ワクチン接種事業をめぐって、自身の支援者を優遇した疑惑がもちあがっている。
昨夏、松井市長は会見でワクチン接種会場として、民間の商業施設である「心斎橋BIGSTEP」を使用すると発表。大阪市のワクチン集団接種会場では、唯一の民間施設利用だ。
だが、この発表を受けて、SNS上では“優遇疑惑”が浮上。というのも、BIGSTEPの関連会社である三栄建設の代表取締役である青山浩章氏は、維新応援団である政治団体「経済人・大阪維新の会」の副会長を務め、大阪府議会議長を務めた松井知事の父親と昵懇の間柄だといわれる人物であり、三栄建設は大阪維新の会や日本維新の会の本部が入るビルのオーナーであるだけでなく〈大阪維新の会のパーティ券を毎年40万円購入〉(前出「週刊新潮」)しているからだ。
三栄建設はこれまでも、2016年度の大阪府緑化事業をはじめとして公共事業を受注しており、たびたび松井氏との関係が囁かれてきた。また、2020年の大阪「都構想」住民投票をめぐっても、大阪・ミナミの商店街に「大阪都構想」に賛成を呼びかける旗が市に無許可で掲げられ、その後撤去されるということがあったが、この旗の掲示はBIGSTEPの運営管理会社で、青山氏が代表取締役を務める大阪屋通商の事業部内に事務局が設けられている「アメリカ村の会」の提案により大阪維新の会が設置費用を払っていたという。
こうしたことから、ワクチン集団接種会場として三栄建設絡みのBIGSTEPが選定されたことに対し、ネット上の維新ウォッチャーがすばやく反応。BIGSTEPが選定された経緯について情報開示請求をおこなうなどの動きが起こった。その結果、BIGSTEPの会場使用料が月額約580万円にものぼることが判明したのだ。
しかも、情報開示請求によって明らかになった文書では、担当者のメールに松井市長からの指示を示唆するような記述があったことも判明。つまり、松井市長がワクチン集団接種会場をBIGSTEPとするよう指示していた可能性も浮上しているのだ。
三栄建設はワクチン接種の会場使用料について〈こどもの貧困対策に利用する大阪市「こども青少年局」様へ消費税を除く全額を寄付〉しているとBIGSTEPのHPで公表しているが、この件について「週刊新潮」は「両者の癒着を疑う声が市民から上がり、疑惑追及のための公文書開示請求などがなされたことが影響したようです」という大阪市政関係者の証言を紹介していた。