岸田首相が代表を務めていた会社は自民党から不自然な資金流入で「ブラックボックス」化
岸田首相や甘利幹事長をはじめとする有力議員が過去に役員を務め、さらに現在も自民党から年間4000万円も流れている会社と、世論操作のネット工作を担っていると思われる会社が取引関係にあるという事実──。
しかし、問題はこれだけではない。この「自民党のダミー会社」である「システム収納センター」は、以前より、自民党からの不自然な資金流入が問題となってきた「自民党のブラックボックス」とされてきた会社なのだ。
そもそも、「システム収納センター」が設立されたのは1977年のことだが、その4年前である1973年には「自民党直属の広告代理店」として「自由企画社」が発足。2003年には同じように世論調査会社である「日本情報調査」が設立されている。そして、この3社には自民党議員や党職員が役員に就き、業務が不透明であるにもかかわらず、自民党本部は毎年、巨額の金を支出してきたのだ。しかも、この3社への支出は、原資が税金である政党交付金から賄われていたのである。
これら3社の具体的な業務内容も明らかにしないまま、巨額の税金を流してきた自民党。当然、このことは問題となり、2007年に毎日新聞が「政党助成制度がスタートした1995年以降、自民党本部から3社に計97億円の政党交付金が支払われていた」と報道、福田康夫政権だった2008年には国会でも取り上げられる事態となった。
このとき、民主党の笹木竜三衆院議員(当時)は「総理もこのシステム収納センターの役員をかつてやっておられました」「岸田大臣もやっておられる時期があります」と指摘した上で、「(3社は)どれだけの支払いに見合った活動をされているのか」と追及。すると、福田首相は「私も自民党経理局長をやっているときに(役員となった)。まあ充て職なんです、これは」「(自民党の)経理局長、財務委員長が充て職として、社外の取締役的な立場で、非常勤かつ無報酬の取締役に就任するというのが慣例になっている」「自民党の政治活動に関する業務を数多く委託している会社で、自民党との信頼関係が重視されるということから、充て職で私どもがおこなっていた」と答弁した。
福田首相は「自民党との間に資本関係はない」「自民党の一部であるとか経営が一体であるとかいう理解は、理論的にも実態的にも成立しない」とも強弁したが、「充て職」が慣例化している段階で「自民党の一部」と呼ばれるのは当然の話。しかも、税金から計97億円もの支出をおこなっておきながら、福田首相は3社の業務内容や職員数も明らかにしようとはしなかったのだ。
この無責任な答弁に対し、笹木議員は「結局まったくのブラックボックスで、ほかの使途に流用されているんじゃないか」と指摘したのだが、いま問われているのは、まさにこの問題だ。