事実を捻じ曲げて感染危機をなかったことにするような人物が内閣参与だったという恐怖
しかも、高橋氏は7月26日のこのコラムでさらに唖然とするような分析と予測を開陳している。すでにこの時点で新規感染者は5000人を超えていたのに、なんと、〈この程度の新型コロナ状況では、医療崩壊は考えにくい〉などと書いているのだ。
周知のように、感染はその後さらに拡大し、東京の医療が逼迫することはほとんどの専門家が予測していたし、実際、いまの状況は冒頭で書いたように、誰が見ても医療崩壊と言っていい状態になっている。それを〈この程度〉〈医療崩壊は考えにくい〉とは……。
しかし驚いたことに、高橋氏は、8月に入って感染者数が1万5000人を超えても一切反省せずに、強弁を続けた。
8月7日に公開された、高橋氏の師匠である竹中平蔵・パソナグループ会長との対談動画でのこと。この対談では竹中氏の発言もひどく、「重症者はちょっと増えて500人台でしょ。ピーク時の3分の1。史上最大の感染だって言ってるけど……」などとでたらめを口にしていたのだが(この動画が公開された8月7日時点で重症者は1000人を超えていた)、これに高橋氏も我が意を得たりと、こう発言したのだ。
「全然たいしたことない。私、さざ波って言って怒られたでしょ。まさしく正しいんだけどね。世界から見れば。さざ波よりさらにちっちゃくなっちゃって」
この時点で感染者は1万5000人を超えていたというのに「さざ波よりさらにちっちゃく」って、もはや認知が歪んでいるとしか思えない。
ようするに、高橋氏はとにかく「コロナはたいしたことない」「人流抑制なんて必要ない」、そして「自分の予測は間違っていない」と言い張ることだけが目的で、そのために都合の悪い現実をすべて無視して、事実を捻じ曲げているのだ。