しかも、すぎやま氏はこのように表立って安倍氏を支持してきただけではなく、「裏」からも応援。2014年には改憲推進団体「美しい日本の憲法をつくる国民の会」の代表発起人となって安倍首相の手による改憲実現のために尽力し、2015年には安倍政権に批判的なニュース番組に圧力をかけ、当時『NEWS23』(TBS)で安保法案の危険性を指摘していたアンカー・岸井成格氏を番組降板に追いやった「放送法遵守を求める視聴者の会」の初代呼びかけ人にもなった。
それだけではない。すぎやま氏は毎年のように100万~150万円を安倍氏の政治資金団体に寄付をおこなっており、実際、安倍前首相の政治団体「晋和会」の2019年度の政治資金収支報告書を見ると、すぎやまとその妻の名前でそれぞれ150万円ずつ、夫婦あわせて計300万円を寄付している。
このように、陰に陽に安倍氏を支え、安倍氏の「総理復活」の後ろ盾となってきたすぎやま。かたや、安倍前首相は組織委の名誉最高顧問だ。東京五輪という晴れ舞台で、自分の支持者に花を持たせようと考えても不思議ではない。
実際、昨日23日付の東京新聞では、開会式で制作を担当した組織委関係者の男性が取材に応じ、「五輪の闇」について証言。そのなかでこんな話を明かしていた。
〈現場で1つの演目のストーリーと出演者を固めた後、組織委や都の有力な関係者やJOC(日本オリンピック委員会)サイドから、唐突に有名人などの出演依頼が下りてくる。部内では有力者ごとに「○○案件」とささやかれた。
男性は「有力者が便宜を図った依頼は絶対。その度、無理やり演目のストーリーをいじって当てはめた」と明かした。〉
もちろん、だからといって、安倍前首相が「開会式でこの曲を必ず使うように」と指示したかどうかはわからない。
だが、そもそも問題なのは、すぎやま氏とほとんど同じ強固な歴史修正主義者である安倍前首相が、組織委の名誉最高顧問などという座にあることのほうだ。いや、ネット上でもさんざん指摘されていたが、「ナチスの手口に学べ」などと公の場で発言した麻生太郎氏がいまなお副総理兼財務大臣を務めていることが象徴的なように、この国はあまりにも歴史修正主義者に甘すぎる。そんな為政者を野放しにしつづけているからこそ、開会式の前日まであのような解任騒動が起こり、世界から「人権後進国」として白い目で見られるのである。
(編集部)
最終更新:2021.07.24 12:14