マスコミが維新を追及できない理由 保健師の実名告発を報じたMBSへの松井市長の恫喝
言っておくが、優先入院があったとしたら、ワクチンの優先接種よりはるかに問題だ。ワクチンは接種を受けた個人の利益だけでなく、社会全体の利益につながるし、順番の後先が即、命の選別につながるという話ではない。しかし、いまの大阪の状況でもし権力者の入院を優先していたとしたら、確実に誰かの健康に被害を与えたことになる。
にもかかわらず、吉村知事は自分の党の議員に持ち上がったこの疑惑を知らんぷりし、他の自治体のワクチン接種に対して偉そうに「後から発覚すれば、権力を使った不正のように思われる」などと説教を垂れているのだ。
しかし、この不誠実さは在阪マスコミも同様だ。前述したように、中谷府議の「感染判明後即入院」問題は、本サイトの報道以前からSNSで広がっており、本サイトの取材に大阪府が認めたことで、さらに非難の声が高まっていた。
ところが、テレビも新聞も、マスコミ系のニュースサイトも、この問題に一切触れていない。吉村知事や松井市長の定例会見でも、この問題に関する質問は出ていない。
今年1月、自民党の石原伸晃・衆院議員が感染して即、東京医科歯科大附属病院に入院したときは、ネットだけでなく、テレビのワイドショーでも取り上げられた。
ところが、さらに医療が逼迫した状況にある大阪でこういう事実が明らかになったのに、在阪マスコミは完全にスルーしているのだ。
いったいなぜなのか。もちろんこれは、維新政治のせいで医療崩壊が起きているこの状況になってもまだ、ほとんどの新聞・テレビが維新に支配され、応援団と化したままだからだ。そして残りのメディアも、維新に怯えて、よほどのことがないかぎり、維新批判を報道できない状態は変わっていない。
実際、5月11・12日には、在阪テレビ局の毎日放送(MBS)の取材に対し、大阪市の保健師が同市の疫学調査の人手不足や過重労働、経験不足の人間が投入されていることなどを告発。合わせて人員体制図をもとに、疫学調査を担当する常勤職員が42人から31人に減らされたと報道した。
ところが、松井市長は12日の新型コロナワクチン接種推進本部会議後の質疑応答でこの問題を質問した記者に対して、指差しながら「それ事実やな? 減ってるっていうのは。MBS」「お前、裏とってきたんやな?」と完全な輩口調で凄んでみせた。
13日の定例会見では、人員表がそうなっていても実際には応援を投入していると言い張り、「なんでそんな不安をあおるようなことばっかり、MBS、何が面白いの?」「表面的な部分しかとらえず、公共の電波を使って不安をあおっている。これについては会社からの回答を求めます。現場の対応とまったく違うことを君らは放送している」と露骨に恫喝をかけた。
これだけの証言と物証があれば、質問・報道をするのは当然なのだが、こうした維新的な恫喝によって、大阪のメディアは完全に黙らされているのだ。
しかし、それが維新議員たちのやりたい放題の不祥事を生み、コロナ禍の失政を許し、いまも大阪府民の生命を奪い続けている。マスコミはもう少しそのことを自覚すべきではないのか。
(編集部)
最終更新:2021.05.15 08:41