不正が発覚した愛知県知事リコールを「応援してます」と後押ししていた吉村洋文知事
愛知県の大村秀章県知事に対するリコール署名をめぐる不正問題。先日本サイトでもお伝えしたように、署名の8割超に不正が疑われるとして愛知県選挙管理委員会が刑事告発、さらに署名偽造にアルバイトが動員されていたことが発覚する事態となった。
団体代表としてリコール運動を主導してきた高須クリニックの高須克弥院長と名古屋市の河村たかし市長、この2人に重大な責任があることは言うまでもないが、もうひとつ忘れてはならないのは、維新の責任だろう。
周知のように、このリコール運動は、当初から維新の顔である吉村洋文・大阪府知事が後押し。おおっぴらに「賛同」を表明し「応援してます」などとエールを送っていた。コロナ対策そっちのけで他の地方自治体の首長のリコール運動に公然と支持を表明するだけでもどうかと思うが、しかし、維新の不正リコールの責任はそんなレベルの話ではない。
というのも、「お辞め下さい大村秀章愛知県知事 愛知100万人リコールの会」事務局長として、高須院長らとともにリコール運動の中核を担ってきた田中孝博氏は、日本維新の会の愛知5区支部長であり、次期衆院選公認候補だからだ。
しかも、このリコール不正をめぐっては、「事務局幹部」の指示があったという疑惑が濃厚になってきている。
詳しくは既報をお読みいただきたいが(https://lite-ra.com/2021/02/post-5798.html)、名古屋市の広告関連会社の下請け会社が大手人材紹介会社を通じて、「簡単な軽作業」「名簿を書き写すだけ」などと、偽造署名を書くアルバイトを募集。愛知県から遠く離れた九州の佐賀県佐賀市の貸会議室で、時給950円で集められたアルバイトの作業員たちに署名の偽造をさせていたことが明らかになった。
しかも、アルバイトを使ったこの署名偽造に「事務局からの発注書」「事務局幹部の指示」があったことを複数のメディアが報じたのだ。
18日の朝日新聞は、受注した広告関連会社側は依頼の際〈事務局幹部から発注書を受け取っており、愛知県警に今月提出した〉と報じている。また、中日新聞も20日、〈リコール活動団体の事務局幹部が業者にアルバイト募集を依頼したことを示す発注書がある〉ことが、関係者への取材でわかったと報じている。
さらに同じ20日には、読売新聞が、偽造署名がおこなわれたバイト会場に〈事務局幹部の関係者と見られる人物〉がいたというバイト参加者の証言も報じている。参加者は、写真を見て「間違いない」と話しているという。
つまり、田中事務局長は指示を否定するものの、事務局がアルバイト募集や偽造作業に関与していた可能性を示唆する“証言”や“証拠”がどんどん出てきているのである。