報道の自由より五輪利権優先 マスコミ各社に聖火リレーの動画公開は72時間以内の制限
しかも、聖火リレーをめぐっては、報道の自由より国際オリンピック委員会(IOC)のビジネスのほうが優先されていることも明らかになった。
くだんの聖火リレーにおけるバカ騒ぎは、東京新聞がネット版記事で動画をつけて指摘。同記事の動画は「大手マスコミが報じない実情」として大きな反響を呼んだのだが、東京新聞はこの動画を28日夕方に削除してしまった。
しかし、これは何も東京新聞が圧力に屈した結果ではない。IOCが、「新聞メディアが撮影した動画を公開できるのは走行後72時間以内」というルールを敷いているためだ。
憲法に保障された報道の自由よりもIOCのルールが優先されるとはまったく意味がわからないが、そもそも組織委は昨年、一般人が撮影した聖火リレーの動画をネット上に投稿することさえ「放送権を持つテレビ局の権利保護」を理由に禁じると発表し、非難が殺到したあとに「IOCから間違いだと指摘を受けた」として撤回するという騒動も起こしている。公道で一般人にそんな制限をかけられると考えた時点で何様かという話だが、このように、本番前の聖火リレーの段階から五輪の「商業主義」「スポンサーファースト」があきらかになっているのである。
それでなくても聖火リレーでは当初から懸念されていた観衆の「密」がさっそく問題化しているが、本気でこの国は世界の感染状況を無視し、国内の感染者数を抑え込むこともできないというのに、「スポンサーファースト」でしかない東京五輪を強行しようというのか。いまこそ、市民が「日本から中止の意思を表明するべき」という宮本氏の声につづかなくてはならないだろう。
(水井多賀子)
最終更新:2021.03.29 08:11