「持続化給付金」「家賃支援給付金」の打ち切りで零細企業を淘汰するのが狙い
緊急事態宣言の発出によって、今後、中小・零細はさらに危機に晒されるのが必至なのはもちろんのこと、個人事業主は「雇用調整助成金」では救えない。菅首相は会見で「雇用を守って事業を継続していただくことが大事」と語っていたが、事業を継続させようというのなら2度目の「持続化給付金」「家賃支援給付金」の実施によって支えることが必要なのは言うまでもない。しかし、菅首相は緊急事態宣言を発出しながら、その当然の支援策を打ち切るというのである。
言っておくが、いまの「感染爆発」まで状況を悪化させた張本人は菅首相だ。事実、東京都の実効再生産数は「GoToトラベル」の対象に東京が追加となった昨年10月初旬から、感染が拡大に向かう「1」を再び上回りはじめた。しかも、早い段階で感染を抑え込んだほうが経済への打撃も軽くなるというのに感染防止策を打ち出すこともなく、むしろ「GoTo」を推進させ、いまや感染拡大は全国規模となっている。
さらに、緊急事態宣言の再発出が叫ばれていた最中の先月12月15日に閣議決定した第3次補正予算案では、菅首相は「GoToトラベル」「GoToイート」「GoTo商店街」に追加で計1兆856億円も計上。第3次補正予算案の総額は73.6兆円だが、喫緊の最重要課題である病床の確保をはじめとする医療提供体制の強化や検査体制の充実といった「新型コロナ拡大防止策」に充てられたのは、たったの6兆円だった。
そして、遅れに遅れて緊急事態宣言を再発出したことで感染を抑え込むのに時間がかかるのは目に見えており、中小・零細、個人事業主の打撃は計り知れないものになるというのに、この期に及んでその支援策を打ち切ろうとは──。
だが、これはたんに支援をケチっているというだけの話ではない。むしろ、菅首相はこの緊急事態を利用して、自身の目論見を達成させようとしているのだろう。その目論見とは、“中小企業の淘汰”だ。