夫婦別姓を潰した山谷えり子、高市早苗、衛藤晟一、片山さつき、有村治子、長尾敬、赤池誠章…
そして、その自民党議員とは、言うまでもなく、安倍前首相と軌を一にしてきた極右議員たちだ。
実際、選択的夫婦別姓制度の議論が活発化していた11月下旬には、反対派議員が「『絆』を紡ぐ会」を結成。第5次計画案を議論する自民党の部会が開催された12月4日の前日には、同会が下村博文政調会長に慎重な対応を求める提言を渡している。そのとき提言をおこなった反対派議員は、山谷えり子・元拉致問題担当相に高市早苗・前総務相、衛藤晟一・前少子化対策担当相、片山さつき・元地方創生担当相、有村治子・元女性活躍担当相、長尾敬衆院議員、赤池誠章参院議員らといったネトウヨ極右議員の面々だ。
たとえば、本サイトでも再三取り上げてきたが(既報参照→https://lite-ra.com/2014/09/post-444.html)、山谷氏は「性教育は結婚後に」とトンデモ発言をおこない、有村氏は人工中ぜつにも反対。高市氏は最高裁で婚外子の遺産相続分を嫡出子の半分とする民法規定を違憲とする判決が出た際、「ものすごく悔しい」と発言するなど、夫婦別姓のみならず、女性の権利や自立、社会進出を阻む発言を繰り返してきた。こうした人物を、安倍前首相は「女性の活用」として大臣に引き立ててきたのである。
そして、12月4日におこなわれた自民党内の会合は、案の定、こうした反対派議員が政府原案に対して「自民党はかつて公約で夫婦別姓を否定した」「世論を誘導するような恣意的な書きぶりだ」などと猛批判。賛成派の自民党議員が「反対の人の声が大きくて、全然議論にならない」と漏らしたほどで(朝日新聞デジタル4日付)、結論は次回に持ち越された。
しかも、反対派は声が大きいだけではなく、その批判も滅茶苦茶。たとえば、山谷元拉致問題担当相は「両親の名字が違うとなれば、お互いの実家が張り合ってしまうリスクも高まる。お年玉の額がそれぞれの実家で違うとか」(毎日新聞11月26日付)などと主張。衛藤前少子化対策担当相は「夫婦別姓でないと困るという意見が出ているが、エビデンス(根拠)がしっかりしていない。お粗末な中身だ」と会合後に発言している。「エビデンス」がないのは「お年玉の額に差が出る」だの「家族の一体感」だの「歴史を踏まえ」などと言っている反対派のほうだ。
だが、つづいて議論がおこなわれた8日も会合は紛糾し、反対派が原案の削除や修正を要求。10日には原案を大幅に後退させた修正案が示されたのだが、じつはこの日、長尾議員はこんなツイートをおこなっていた。
〈あの会議をこちらの重要会議にぶつけて来た(ーー;)
重要会議に出席予定だった前総理も、迷う事なく瞬時にご了解頂き延期したよ。〉
前総理というのは、言うまでもなく安倍前首相のことだろう。つまり、長尾議員は安倍前首相とともに別の会議に出席予定だったが、選択的夫婦別姓の会合が開かれることになり、安倍前首相が「迷う事なく瞬時に了解」したことで延期させた、というのである。
安倍前首相といえば、「夫婦別姓は家族の解体を意味します」「左翼的かつ共産主義のドグマ(教義)」(「WiLL」ワック2010年7月号)などと語ってきた反対派の急先鋒だったが、こうしていまも制度導入を阻止すべく、子飼い議員を動かしているのである。